記者の目

2011/1/12

女性がイキイキと働くためのヒントとは?

日管協、賃貸不動産業の第一線で光り輝く10名の女性を表彰

 (財)日本賃貸住宅管理協会レディース委員会(会長:北澤艶子氏)は2009年、「(財)日管協 ワーキングウーマン」を創設した。会員企業で活躍している女性を表彰し、光り輝く人たちにスポットライトを当てることで、業界全体で働く女性たちの士気を高めるとともに、活躍の場をよりいっそう広げ、盛り上げていくことを目的につくられたものだ。  10年は10名が受賞。表彰式の前に行なわれた「受賞者記念パネル討論会」では、イキイキと働くためのヒントについて、受賞者のうち7名がそれぞれに思いを語った。

「ワーキングウーマン」を受賞した7名によるパネル討論会。ワーキングウーマンは、「10年以上、誠実・勤勉に賃貸不動産業界に勤務している者」「営業成績が良い、もしくは会社貢献度が高く他の模範となっている者」「仕事と家庭や子育てを両立し、常に前向きに業務に励んでいる者」「レディース委員会や支部定例会等に半分以上参加し、業界のレベルアップや賃貸住宅市場の健全化に貢献している者」に授与される
「ワーキングウーマン」を受賞した7名によるパネル討論会。ワーキングウーマンは、「10年以上、誠実・勤勉に賃貸不動産業界に勤務している者」「営業成績が良い、もしくは会社貢献度が高く他の模範となっている者」「仕事と家庭や子育てを両立し、常に前向きに業務に励んでいる者」「レディース委員会や支部定例会等に半分以上参加し、業界のレベルアップや賃貸住宅市場の健全化に貢献している者」に授与される
パネル討論会後に行なわれた授賞式の様子
パネル討論会後に行なわれた授賞式の様子
「若い新卒の女性が『不動産業界で働きたい!』と思えるような業界にしたいと、ただひたすらその思いだけで頑張ってきた。われわれの業界には、仕事に対して真面目に真摯な態度で取り組んでいる女性が多く、業界の未来はとても明るい」と話す、北澤会長
「若い新卒の女性が『不動産業界で働きたい!』と思えるような業界にしたいと、ただひたすらその思いだけで頑張ってきた。われわれの業界には、仕事に対して真面目に真摯な態度で取り組んでいる女性が多く、業界の未来はとても明るい」と話す、北澤会長
アメリカの不動産業界で活躍されている田中和代氏。「受賞者の方のみならず、日々、懸命に仕事をしていらっしゃる皆さんすべてが受賞者だと思う。日本の女性がこんなにも素晴らしい活躍をしていることが、非常に嬉しい。私自身も、1988年にアメリカで不動産のライセンスを取得してから、大好きな不動産業に携わっていられることをありがたいと思う」と述べた
アメリカの不動産業界で活躍されている田中和代氏。「受賞者の方のみならず、日々、懸命に仕事をしていらっしゃる皆さんすべてが受賞者だと思う。日本の女性がこんなにも素晴らしい活躍をしていることが、非常に嬉しい。私自身も、1988年にアメリカで不動産のライセンスを取得してから、大好きな不動産業に携わっていられることをありがたいと思う」と述べた

仕事は楽しいけど大変…、モチベーションを保つ秘訣とは

 討論会の冒頭、会場にいる人たちに向けて「ズバリ、仕事は『楽しい』ですか? それとも『楽しいけど大変』ですか?」と、進行役が質問。『楽しい』に手を挙げた人はほんの数名で、ほとんどが『楽しいけど大変』と答えた。さて、パネリストはどうだったかというと、『楽しい』が3名、『楽しいけど大変』が4名という結果に。『楽しい』とキッパリ言えるのは、きっと自分なりのモチベーションアップ術を実践しているからなのだろう。

 彼女たちは、働くモチベーションについて次のように語っている。
 「家族の存在が大きな心の支え」「頑張れば認めてもらえる環境」「仕事をとおして自分が成長できる」「社会人として社会の役に立てる」「お客さまの『ありがとう』」…など。なかでも印象に残ったのは、(株)大央ハウジング(沖縄県)・石川陽子さんの言葉だった。
 「同じ業務でも、前月より少しでも早く業務が終了できたときの達成感。翌月は、『今月よりさらに効率の良い業務ができるように』と考えると、さらにモチベーションが上がる」。
 彼女は、精算業務が主な仕事。毎月ほぼ決まったスケジュールで同じ仕事を続けるという環境では、モチベーションを保ち続けるのは難しい。そこで、自分なりの「プチ目標」を掲げ、それを達成したときの「プチ達成感」で、仕事への意欲を維持しているのだという。

辛い、大変なときを乗り切るためのちょっとしたコツ

 とはいえ、仕事をしていくうえでは、辛くて大変な出来事に遭遇することがままあるものだ。そんなとき、彼女たちはどう気持ちを切り換えているのだろうか。何名かの意見を紹介しよう。

 「答えはいつも自分のなかにあるように思う。考えるより先に行動してみる」(朝日不動産(株)(富山県)・石橋寛美さん)。
 「仕事があるから働くことができる。自分は何て恵まれているんだろうと考える。それに、大変なときは自分が『大きく変われるチャンス』((株)セクト(北海道)・山下恵美さん)。
 「一つのことを成しえない者は、ほかのことからも逃げる。トラブルを乗り越えることで自分に自信がつき、成長の糧になると思い自分を奮い立たせる」((株)秋田住宅流通センター(秋田県)・高橋博子さん)。
 「ほかの人にできるなら、私にもできるはずと思い、地道に努力・継続すること。良くないことが続いても、良いときがあれば悪いときもあるので、今がダメでもきっと良くなると考える」(タカラ不動産(株)(石川県)・黒瀧千晴さん)。

 逃げない、諦めない、悲観的にならない。頭ではわかっているつもりでも、いざ難局に直面すると、なかなか実践できないものだ。でも、結局は自分との闘い。彼女たちの前向きな姿勢を大いに見習いたい。

賃貸管理業は、女性に向いている仕事

 賃貸管理の現場では、「女性ならではの視点」による気遣い、気配りによって、お客さまの信頼や安心感を得ていることが多いのではないだろうか。その意味で、賃貸管理業は女性に向いている仕事ではないかと思う。さて、パネリストはどう考えているのだろうか。

 「家事などと同様の細やかな気配りに似ているように感じる」(伸和ハウス(株)(岩手県)・三宮京子さん)。
 「社会で働くうえで女性は不利だという考えもまだ残っているが、女性であることがまずはラッキーだと考える。家庭を持つとともに、社会でも必要とされることは素晴らしいこと」(前出・山下さん)。
 
 「女性であることがラッキー」。このひと言は、非常に心に残った。女性が会社で働き続けるには、出産、育児、家事などが「弊害」となることが少なくないと思っていた。しかし、そうではなく「女性だからできること」と考えると、なるほど、まったく違う心持ちになる。何事も、考え方次第ということだ。

 最後に、パネリストの1人が、同じ働く女性に向け次のようなエールを送った。
 「楽しいことも辛いことも、経験はすべて自分の力となると信じて、頑張っていきましょう」((株)三好不動産(福岡県)・粟井美加さん)。
 心強い言葉に、会場からはたくさんの拍手が湧いた。(I)

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