記者の目

2012/1/23

次世代スタンダードを目指して。自由な新築分譲マンションを提案

絶好のロケーション×自由に選択できる家

 サザンビーチで有名な“茅ヶ崎海岸”まで約90m、眼下に広がる海岸沿いには一直線に並ぶ緑豊かな松林、そして第1種低層住居地域の角地という絶好のロケーションに、『次世代型マンション』が誕生する。従来の分譲マンションといえば、住居の“位置”と“間取り”が限定されてしまい、「好きな住居の位置(○号室)は選べても、間取りが気に入らない」などというユーザーの声が多かった。この悩みを解決すべく登場したのが、三菱地所レジデンス(株)が発表した「ザ・パークハウス 茅ヶ崎東海岸南」(茅ヶ崎市、総戸数35戸)だ。1月21日(土)から販売開始しており、価格は3,588万円~。同マンションでは、新構想「スマートセレクト構想」を導入することにより、“好きな場所”に“好きな間取り”で住める暮らしが実現する。

「ザ・パークハウス 茅ヶ崎東海岸南」外観模型
「ザ・パークハウス 茅ヶ崎東海岸南」外観模型
玄関脇に設置されたサーフボードを置ける土間。バスルームとつながっているため、海で遊んだあと部屋に入る前に汚れを落とせる
玄関脇に設置されたサーフボードを置ける土間。バスルームとつながっているため、海で遊んだあと部屋に入る前に汚れを落とせる
コンセプトプラン「海を感じるバスタイムの家」内観イメージ
コンセプトプラン「海を感じるバスタイムの家」内観イメージ
リビングの様子
リビングの様子
キッチンに隣接したバルコニー。開口部が広いハイサッシュを採用。採光に優れ、部屋の奥まで光が届くほか、圧迫感が少なく開放感のある室内を演出
キッチンに隣接したバルコニー。開口部が広いハイサッシュを採用。採光に優れ、部屋の奥まで光が届くほか、圧迫感が少なく開放感のある室内を演出
「ユーザーに広い選択肢を提供できる家が必要だと考えた」などと話す、“スマートセレクト構想”を企画した(株)メックecoライフ代表取締役社長・平生進一氏
「ユーザーに広い選択肢を提供できる家が必要だと考えた」などと話す、“スマートセレクト構想”を企画した(株)メックecoライフ代表取締役社長・平生進一氏

“スマートセレクト構想”とは

 「スマートセレクト構想」は、“スマートスタイルセレクト”、“管理のルール”、“ECO”の3つのキーワードで構成されているが、中でも“スマートスタイルセレクト”は、35戸の住戸位置と個性豊かな8プランの間取りから、自身の好みの住まいを選べるという点がポイントだ。
 まず、好みの向きや階数のほか、テラス付き住戸や、窓が多い角部屋など、希望の条件に合った住居を選ぶことができる。さらに、間取りは個性豊かな8プランを用意。ベーシックプラン3タイプのほか、「海を感じるバスタイムの家」「サーフィンを暮らしの中心にした家」「夫婦2人の空間を楽しむ家」など、同物件ならではの5タイプを設けた。キッチンの位置や、和室から洋室への変更、カラーセレクトなども柔軟に対応しており、ユーザーは幅広い選択肢から自分好みの住まいを選び、創り出す楽しみを味わえるのだ。

 プランを幅広く選択できるとなれば、自由設計マンションを想像する人もいるだろう。ここで同物件と自由設計マンションとの違いもお伝えしよう。
 同物件は決して注文住宅ではなく、あくまで最多の選択肢を持つ既製品だ。例えば、三菱地所の自由設計マンションに「スタイルハウス」があるが、これと「スマートセレクト構想」導入住宅を比べた場合、価格面・工期・引き渡しに違いがある。注文住宅では、ゼロから間取りを考えるため、ユーザー側にかかる手間が大きく、また要望を追求するあまり、追加コストがかさみ、最終的に高額となってしまうことも多い。工期もプラン変更等で時間がかかりやすく、正確に予想しづらい。また、住民全員のプランが決定しないと着工にこぎつけないことから、引き渡しまでに時間がかかるのも否めない。このような敷居の高さを解消し、幅広い物件プランにより、顧客に「自由な選択」を可能にしたのが、“スマートスタイルセレクト”といえよう。自由設計マンションの旨みを味わいながら、手間やコストを抑えられる点が最大のユーザーメリットだ。
 そのほか、共用部の管理ルールを見直し、アルコーブやポーチ、中庭、屋上テラスなどで住民同士のコミュニケーション交流を促進。また、「一括高圧受電方式」と共用部の電力を屋上でつくる「太陽光発電」を組み合わせた「soleco(ソレッコ)」や、将来的な電気自動車対応配管を施した駐車場設備「solev(セレヴ)」を導入するなど、エコにも配慮した。

“東京・丸の内再開発プロジェクト”の三菱地所が実施

 この新構想を手掛けるのは、東京駅周辺の大手町・丸の内・有楽町で約30棟のビルを保有・運営し、日本を代表するオフィスや商業施設エリアを形成している三菱地所グループだ。同グループは、新築分譲マンションにおいて、「パークハウス」という圧倒的なブランド力をもっており、従来の「パークハウス」でもユーザーへの訴求効果は十分あったと考えられる。
 「ザ・パークハウス 茅ヶ崎東海岸南」は、各住戸の専有面積が約72~79平方メートルと異なるため、同社が用意した間取りプランの図面数は60にも及んだという。施工においても、資材調達や工期の短縮を考えれば、開発側は全戸で一定プランを提供したほうが遥かにコストを抑えられラクだ。これほど手間暇をかけてまで、大手ディベロッパーが細かくユーザーの希望に対応する“スマートスタイルセレクト”を開発した背景や狙いはどこにあるのだろうか。
 
 「ザ・パークハウス」の環境デザインを研究し、「スマートセレクト構想」の企画開発に携わった(株)メックecoライフ代表取締役社長・平生進一氏は、「リーマンショック以降、ユーザーが求めるものは、いわゆる“何でもついている家”から、引き算の発想による“自分好みの家”へと変化している。新築分譲マンションの価値を考えたとき、従来品では自分の感性を受け入れてくれる自由度が足りなかった。そのため、ユーザーに広い選択肢を提供できる家が必要だと考えた」と言う。さらに同氏は「10年後、好きな場所に好きな間取りで住めるマンションが世の中の常識であってほしいとも考えている」とも語った。

SI工法とデザイナーズハウス

 同構想を支えている技術がSI(スケルトンインフィル)工法である。従来マンションの場合、内装・設備を分けて設計していないため、水まわり等のパイプスペースが専有部内に複数出てくる。このため、間取りが限定され、メンテナンスも手間がかかってしまうのだが、同マンションには構造躯体(スケルトン)に遮音性の高いコンクリートを使い、そこに間取りや設備(インフィル)を自由に合わせることができるSI工法を採用。構造躯体から専有部を通るパイプスペースを分離させ、床下に設けた30cmの空間を通して住戸外のメーターボックスに排水堅管を集約した。これにより、室内を広く使え、大きな負担をかけずにメンテナンスや交換ができる。
 さらに、難易度が高いといわれるキッチンやトイレ等の水まわりの移動も可能とした。将来的に家族人数が変化しても、1DKから3LDKなどへと部屋数や部屋位置を自在に変更できるため、引っ越しをせずに慣れ親しんだ土地に暮らし続けることができるのだ。
 総合デザイン監修は、愛・地球博トヨタグループ館(2005年)で経済産業大臣賞などを受賞した建築事務所「みかんぐみ」、住戸プランの提案はSI工法を得意とする「無印良品」が担当している。

第1弾は“茅ヶ崎”で…

 同社が研究してきた“スマートセレクト構想”の第1弾物件として、なぜ「茅ヶ崎東海岸南」が選ばれたのか。それは、この土地で長年育まれてきたカルチャーが生み出す“茅ヶ崎”というブランドと、そこに住まう人々が住まいへのこだわりを持っていることにも関係するようだ。
 この地に暮らす人が求めるキーワードは、“シンプル”“ナチュラル”“エイジング”で、「決して都会的でシャープな洗練さではなく、住まう方の持つさまざまなアイテムが溢れていても雰囲気が良く格好いい空間、暮らす場所そのものが余暇や趣味を楽しめる空間、住む人の個性を受け入れるシンプルな白の建物外観」(デザイン監修「みかんぐみ」)が合っているそう。そんな同物件のコンセプトは、新しいジーンズが、時の経過とともに所有者に一番心地よく馴染み、好みの風合いに変化していくことに例えて“ジーンズのような空間”とした。
 湘南・茅ヶ崎は昔、文豪の避暑地として文化の薫りが漂っていた場所で、現在はビーチカルチャーの最前線となった地。そこに住む人びとは海好きの人も多く、住まいへのこだわりは他エリアとは異なるものがある。同構想による自由度の高いマンションは、この地に住まう人びとの多様な感性にも柔軟に対応し、ぴったりはまるのだろう。また、同社では、総戸数35戸という比較的小規模なマンションであることも新たな試みのスタートに適していたと言う。

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 物質的豊かさのほかにも、人それぞれの価値観で心の豊かさを見つめるようになった現代、十人十色な感性を受け入れる自由度の高いマンションは、ユーザーにとって魅力的に映るだろう。
 業界のリーディングカンパニーである同社の「スマートセレクト構想」が、平生氏の述べる“新築分譲マンションの新しい価値”を生み出すのではないか。そんな未来を思わず想像させる、新たな可能性を感じた取材だった。(yu)

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【関連ニュース】
「スマートセレクト構想」第1弾、「ザ・パークハウス 茅ヶ崎東海岸南」始動/三菱地所レジデンス、メックecoライフ(2011/12/15)

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2024/5/1

「海外トピックス」を更新しました。

サントスの「動く博物館」と中心街の再活性化【ブラジル】」を更新しました。

ブラジル・サンパウロ州のサントスでは、旧市街地2.8キロをめぐる「動く博物館」が人気となっている。1971年には一度廃止された路面電車を復活して観光路面電車としたものだが、なんと日本から贈られた車両も活躍しているという。