記者の目

2012/2/7

“木更津”再興の起爆剤になるか

「三井アウトレットパーク 木更津」OP、高まる地元の期待

 房総半島の東京湾側に所在する千葉県木更津市。古来より港町として栄えてきたこの地は、1997年に東京湾アクアラインで川崎と結ばれ、都心各エリアへのアクセスが一気に良くなったことで一躍注目を集めた。  この地に今年、新たなランドマークとなりそうな大規模施設が完成する。それが、三井不動産(株)が展開するアウトレット、「三井アウトレットパーク 木更津」だ。  4月13日のグランドオープンを前に、報道陣へ概要が公表され、また工事現場の一部の見学が許された。このときの様子をレポートする。

4月のオープンに向けて、急ピッチで工事が進められている
4月のオープンに向けて、急ピッチで工事が進められている
工事中のフードコート(上)。完成するとクルーザーの甲板をデザインした、約650席を擁する巨大スペースとなる(イメージ)(下)
工事中のフードコート(上)。完成するとクルーザーの甲板をデザインした、約650席を擁する巨大スペースとなる(イメージ)(下)
巨大施設ゆえ、3つにゾーニングされ、外観のタッチもエリアによって異なる。現在工事中だが、その違いは現段階でもご理解いただけるのでは?
巨大施設ゆえ、3つにゾーニングされ、外観のタッチもエリアによって異なる。現在工事中だが、その違いは現段階でもご理解いただけるのでは?
外観完成予想図。このようにゾーンによって外観のタッチを変える計画
外観完成予想図。このようにゾーンによって外観のタッチを変える計画
工事中のため分かりづらいが、店舗の屋根には太陽光発電設備を設置する。全体で約600kWで、ショッピングセンターでは東日本最大規模となる
工事中のため分かりづらいが、店舗の屋根には太陽光発電設備を設置する。全体で約600kWで、ショッピングセンターでは東日本最大規模となる

千葉県のみならず、都心部、横浜、川崎からも便が良い立地

 「三井アウトレットパーク 木更津」は、東京湾アクアライン「木更津金田」ICから約1km、「袖ヶ浦」ICから約4kmに位置する。車60分圏内だと千葉県内の主なエリアのほか、東京都心部や川崎市、横浜市までもが該当する、恵まれた立地にある。

 自家用車以外の便としても、「木更津金田」バスターミナル、「袖ヶ浦」バスターミナルなど、高速バスのターミナルがあり、東京や羽田空港、品川、新宿、横浜、川崎などから、1日約250便もの高速バスが運行されている。

 また電車ではJR内房線「袖ヶ浦」駅から約2kmだが、本施設オープンに合わせ、「袖ヶ浦」駅のほか、「木更津」駅、「巌根」駅から施設まで、路線バスが開通する予定と、首都圏広域からのアクセスに優れているというのが、大きなポイントとなっている。

 グランドオープン時には171店舗でスタートするが、これは、同社の「三井アウトレットパーク」の中では「ジャズドリーム長島」の240店舗に次ぐ規模。同じ千葉県内にある「幕張」の95店舗との比較では2倍近い。ゆくゆくは店舗面積約4万平方メートル、店舗数約200~250店舗と日本最大級のアウトレット施設へと拡張する計画だという。


日本初出店は21店舗!

 2.8haという広大な敷地に、171店舗(うちアウトレット店148店)を擁するアウトレットとして産声を上げる当施設。海沿いの自然豊かな房総の地ということから、のテーマは「BOSO CITY RESORT」。巨大施設ゆえ施設全体を「OCEAN RESORT」「URBAN RESORT」「GREEN RESORT」と、それぞれテーマを持たせてのゾーニングを実施。店舗外観もそれぞれのエリアで変化をつけるという。

 出店店舗中、関東地方初出店はファッションの「BARNEYS NEW YORK OUTLET」、「Paul Stuart」、ファッション雑貨の「NIXON」など、46店舗。うちファッションの「Henry Cotton’s」、生活雑貨の「MEISSEN」など21店舗が日本初出店となる。

 また、来場者の「胃袋」も満足させるべく、木更津の「津」が表す「船着場」に泊まるクルーザーの甲板をイメージに、約650席を擁する全天候型フードコートスペースを用意。地元の人気店ほか、和洋中韓の食事を提供する。

 車利用者が大多数という見込みから、敷地内駐車場も約4,300台を完備。さらに開業当初はさらに多くの来場者を見込み、臨時駐車場も含めて7,000~8,000台を確保するという。

 「日本の玄関口である羽田空港からの便も良いことから、5ヵ国語の案内を用意するなどしてアジアからの観光客も積極的に誘致し、より多くの集客を図る」(ららぽーとマネジメント(株)三井アウトレットパーク 木更津オペレーションセンター所長・越川幹男氏)計画で、ほかにもアクアラインのICが観光の入口でもあることを生かし、観光バスツアーの造成ほか、房総全体の回遊、買い回り策にも力を入れていく計画だ。


暗いニュースが続いた木更津。再興の足がかりに

 実は「東京湾アクアライン」開通以降、木更津ではいいニュースを聞くことがほとんどなかった。2000年、「木更津」駅西口にあった「木更津そごう」が閉店。さらにそごうが抜けたビル「アインスビル」を管理していた第三セクター「木更津都市開発」も01年に自己破産。そのビルを「アクア木更津」と改装、管理・運営を引き継いだ「日本総合企画」も09年に民事再生法の適用を申請した。
 一方、東口にあったスーパー「ダイエー木更津」も01年に閉鎖と駅前はさびれるばかり。
 木更津はこのままゴーストタウン化してしまうのでないか、との懸念を抱いた人は少なくなかった。

 しかしここにきて朗報が相次ぐ。アクアラインの通行料金800円化の影響や、都心へのアクセスが良いにもかかわらず地価が東京や神奈川に比べ安いことから住民流入が起こり、11年に木更津市の人口は13万人を超えた。12万人を超えてから、実に25年以上の年月を経て、である。

 そして次のビッグニュースが、今回のアウトレット施設の開業だ。

 同施設では、オープンに向け雇用確保も進められており、「最終的には登録人数ベースで2,000~2,500人の雇用創出となる」(同氏)というから、これだけでも地域に与える影響は大きい。

 また、同施設が開発される「かずさアクアシティ」(土地区画整理事業地)では、ほかにもスーパー「ベイシア」やホームセンター「カインズホーム」、大型家具店「東京インテリア」などの進出が決定済みで、いずれも12年中の開業予定で開発が進行中だ。

 「三井アウトレットパーク 木更津」のオープンが、木更津の再活性化の起爆剤となるか。期待とともに4月13日を待ちたい。(RN)

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