記者の目 / その他

2012/7/9

DIYでキッチンをイメージチェンジ!

さくら事務所がシートの貼り方を伝授するイベントを開催

 「DIY」に関心を持つ人が増えている。ちょっとした改変でもリフォーム業者等に依頼すると費用がかなりかかってしまうこと、材料がホームセンター等の増加で手に入れやすくなったこと、実際のやり方についてもネット等で容易に調べられるようになったことなどが、その背景にあると思われる。ちなみに「DIY」とは「Do it yourself」の略語で、自分の手で住宅環境を工作・工事などをすることを指す…という説明は、この期に及んではもう不要か。  さる6月23日(土)に、ホームインスペクター事業を展開する(株)さくら事務所(東京都中央区、代表取締役:長嶋 修氏)が、一般の人を対象に、キッチン戸棚を自らの手で美しくリフォームする「キッチン若返りマジックDIYワークショップ」を開催した。古びたシステムキッチンを若返らせるために、戸棚にフィルムを貼る方法を伝授するというもの。実際のフィルム貼りを体験できるということで、ホームページやSNSでしか告知をしていないにもかかわらず、定員を超える申し込みがあったという。  この人気イベントに潜入してきたので、その時の様子をレポートする。

イベント会場となったさくら事務所の研修所(埼玉県川口市)。築32年と築年数が経過しているうえに、空き家となっていた期間がしばらくあったとのことで、少々荒れた雰囲気(失礼!)
イベント会場となったさくら事務所の研修所(埼玉県川口市)。築32年と築年数が経過しているうえに、空き家となっていた期間がしばらくあったとのことで、少々荒れた雰囲気(失礼!)
講師は同社取締役の大久保 新氏。住宅リフォームやテナントビル工事、店舗内装工事などの職歴を持つ、リフォームのプロ
講師は同社取締役の大久保 新氏。住宅リフォームやテナントビル工事、店舗内装工事などの職歴を持つ、リフォームのプロ
道具一式を前に、緊張の面持ちで説明を聞く参加者の皆さん
道具一式を前に、緊張の面持ちで説明を聞く参加者の皆さん
メモを熱心にとり、カメラで手際を撮影…と、その熱意に驚き!
メモを熱心にとり、カメラで手際を撮影…と、その熱意に驚き!
ダイノックシートの貼り付け作業。この後がフィルムの切り離しだ
ダイノックシートの貼り付け作業。この後がフィルムの切り離しだ
緊張のフィルムの切り離し。このときばかりは緊張感が漂ったが、いずれもきれいな仕上がりに
緊張のフィルムの切り離し。このときばかりは緊張感が漂ったが、いずれもきれいな仕上がりに
シートを貼り終えたら、扉を取り付けて完成。ここだけピッカピカ
シートを貼り終えたら、扉を取り付けて完成。ここだけピッカピカ
今後は、年季の入った壁や床、ドアなどもDIYで変えていく計画とのこと。どのように生まれ変わるのか、楽しみだ
今後は、年季の入った壁や床、ドアなどもDIYで変えていく計画とのこと。どのように生まれ変わるのか、楽しみだ

古い一軒家を教材に、貼り方を伝授

 会場は、埼玉県川口市にある、築32年の一軒家を借り上げた同社の研修所。本来はホームインスペクター(住宅診断士)の養成や研修などに活用する目的で活用している施設だ。

 この施設(家)、長きにわたりオーナーが居住、しかもその後しばらく放置されていたため、かなり汚れが蓄積されており、しかもインテリア・エクステリアは前時代的…(失礼)。そこで、同社ではこの施設を、DIYで再生をする計画とDIY方法を伝授する場としても活用しようとイベントを企画。その第一弾が今回のイベントなのである。

 講師は、住宅リフォーム業に従事した経歴を持つ、同社取締役の大久保 新氏。

 イベントでは、参加者に、古びたキッチン戸棚へのダイノックフィルム貼り付けを体験してもらう。ちなみにダイノックフィルムとは、住友スリーエム(株)の製品である着剤付きの印刷化粧フィルム。これをキッチン戸棚に貼り、イメージチェンジをはかろうというのである。

 作業は次のとおり。

第一段階(準備段階)
戸棚取り外し→紙やすりを使い目粗し(傷や汚れを落として平らにする)→洗剤で表面をきれいにする

 なお、ここまでは同社が作業を完了していたので、参加者の作業としてはこの続きから。

第二段階(張り付け作業)
マスキングテープで戸棚の周りを養生→プライマー(接着剤&下地剤)を刷毛で塗布→ダイノックシートを貼付→へらとカッターを使い余分な部分をカット→養生をはがす

 これで完成だ。


簡単そうに見えて…簡単な作業!?!

 参加者は11名。今回はたまたまか、全員が男性だ。
 緊張の面持ちで作業開始。見ていると、そんなに難しそうではない様子。マスキングテープを縁にまっすぐ貼るのは難しそうに思えたが、みなすいすいと貼っていく。

 「きれいに貼ればそのほうがいいが、そんなに神経質にやらなくても大丈夫」(大久保氏)。

 続くプライマー塗布は、のりを刷毛で塗るのと同じ要領。「薄く、早く塗るのがコツだが、これも多少アバウトでも大丈夫」(同氏)。んん?子供がやりたがりそうな、そして任せても大丈夫そうな作業だ。

 次がメインのダイノックシートの貼付。裏面が全面シールとなっているシートで、裏紙を端から剥がしながら貼る。その際、スキージー(へら状のもの)で空気を抜きながら貼るので、少々難しそう…だったが、失敗した仕上がりの方はいなかったところを見ると、さほど難しい作業ではないのだろう。

 そして最後、へらをあて、カッターでカット。一連の作業の中ではのここが一番難航しているように見えた。「あっ、隙間ができてしまった」「うまく切れていない」などの声がところどころから聞かれたが、それでも、よほど近づいてじっくり見ないと見えないほどの隙間であり、うまく切れていない場合は、再度カッターを入れたら、きれいに切れていた。

 説明時間を除いたら、正味20~30分という短時間で終了した。


システムキッチン、全面に貼るのにかかる費用は約2万円

 最後、仕上がった扉をシステムキッチンに取り付ける。すると…印象がすっかり変化!こんな簡単にイメージチェンジができるの?と驚きの仕上がりであった。

 参加者からも「思っていたより簡単だった」「イメージがずいぶん変わる」との声があがった。

 今回の作業にかかった費用だが、マスキングテープ、刷毛、へら、スキージー、カッターで約2,000円。ダイノックシートは120mm幅で1mにつき約5,000円~、専用プライマー(1kg)が3,000円前後。

 今回の作業ではキッチン(写真参照)の約3分の2ほどの面のみで完了となったが、すべてを貼り替えたとしても「3mあれば十分」(同氏)だそうで、合計2万円ほどか(なおプライマーはかなり大量なので、一度購入すれば当分持つ。1回の単価としてはかなり安価となろう)。

 なお、今回学んだ要領で、ドアや冷蔵庫の扉などにもフィルムを貼ることができるという。またガラスへのフィルム(飛散防止など、種類多)貼りつけでも基本は同じ、とのことだ。


鋭い質問の連続…の訳は

 作業終了後の休憩タイム。参加者からは、「次回はキッチンパネルの貼り方を教えて」等のリクエストが寄せられたほか、「ダイノックシートとカッティングシート、違いは?」「角がアールのものにうまく貼る方法は?」「クッションフロアに挑戦してみたが、うまく貼れなかった。コツは?」など、講師へ数々の質問が投げかけられた。

 なぜ、そんな突っ込んだ質問が??思わず、「皆さんはどういう立場の方か?」と尋ねたところ、なんと、ほとんどが賃貸住宅オーナーの方だというではないか(なお年齢層は、見たところ30~60歳代)!

 参加の目的をうかがうと、貸し室に自分で手を入れたいという人のほか、「リフォーム業者の提示価格が高いので、そんなに難しいものなのか体験しに来た」「自分で実施した方がいいか、専門業者にお願いした方がいいか、判断できるようにするために参加した」など、リフォーム実施の際の判断材料にするために参加したという方が多かった。

 賃貸市場の激化に伴い、賃貸住宅オーナーのタイプが大きく変わっているということはあちこちの現場で耳にしていたが、その現実をこのような一般向けのイベント会場で実感することになろうとは。「賃貸経営を成功させるためには、経営努力が必要」と認識するオーナー増加の現れだろう。

 事業者(管理業者、リフォーム業者)にも、これまで以上の事業努力が求められているのは間違いない。(NO)

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サントスの「動く博物館」と中心街の再活性化【ブラジル】」を更新しました。

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