記者の目 / 仲介・管理

2013/10/25

築古物件でも新築同様の便利さ享受

~部分リフォームから間取り変更まで

 中古住宅流通市場の活性化に関心が高まる昨今、千葉県松戸市を中心に千葉県全域を営業エリアとして売買仲介事業を展開する(有)みの産(千葉県松戸市、代表取締役:吉田 実氏)では、中古物件仲介において積極的にリノベーションやリフォームを提案し、契約成立につなげている。また“スマートルーム”と銘打った通信、防犯などの機能を新築物件並みに向上させるリフォームも提案し、購入者の快適生活実現に貢献している。

リフォーム工事中の様子。スケルトンにして、配線・配管をすべてやり直した
リフォーム工事中の様子。スケルトンにして、配線・配管をすべてやり直した
間取りを変更。狭いDKと和室をつなげて、ゆとりのLDKを実現。隅には高床の和室をしつらえた
間取りを変更。狭いDKと和室をつなげて、ゆとりのLDKを実現。隅には高床の和室をしつらえた
完成した居室は、築39年とは思えない仕上がりに
完成した居室は、築39年とは思えない仕上がりに
リビングの隅には高床の和室を設置。軽く腰掛けたり、疲れたら横になって休むなど、多様な用途が考えられることから、見学者の反応も上々だったという
リビングの隅には高床の和室を設置。軽く腰掛けたり、疲れたら横になって休むなど、多様な用途が考えられることから、見学者の反応も上々だったという
和室の稼働間仕切り。仕切りを格納すると、広い空間が実現する
和室の稼働間仕切り。仕切りを格納すると、広い空間が実現する
部屋ごとにクロスの色を変更。雰囲気の変化も楽しめるように
部屋ごとにクロスの色を変更。雰囲気の変化も楽しめるように
浴室は刷新。フルオートバスを導入した
浴室は刷新。フルオートバスを導入した
キッチンはオープンタイプのL字型を採用。LDKの開放感がさらに高まる
キッチンはオープンタイプのL字型を採用。LDKの開放感がさらに高まる
来訪者の録画機能のあるインターフォンを導入。防犯・セキュリティにも配慮した
来訪者の録画機能のあるインターフォンを導入。防犯・セキュリティにも配慮した

中古住宅、“そのまま”ではなかなか売買が成立しない物件が

 同社では、仲介事業のほかに、部分リフォームから間取り変更も含めたリノベーションまでカバーし、営業展開している。
 最近では“スマートルーム”リフォームとして、防犯性や利便性を向上させるために、通信機能や防犯性能、管理機能などを向上させるリフォームをお勧めしているという。

 「共働きの家庭が増えています。朝慌てて家を出て『照明を消したか?エアコンを止めたか?』など、不安になって一度帰宅して…という経験をされている方も多い。そういったことを、外から確認できたら便利だし、電源を入れる・切るをリモートコントロールできたら、なおありがたい。それを可能とする家電などはすでに販売されているので、それを導入したスマートな生活をお手伝いしたいと考え、提案しています」(吉田氏)。
 ちなみに最新式インターフォンや防犯カメラの設置、スマート家電の導入などにより、生活は格段に便利になり防犯性能も向上するが、既存物件では、電気容量の問題、通信回線の問題などから、導入できない、もしくはできてもうまく機能しないなどのケースがある。そこで、電気容量の拡大や通信線の確保などについても相談に応じ、“スマートな生活”実現の手助けをしている。

 同社のアドバイスによるリフォームにより、築年数が経過した物件でも、快適生活を手に入れたユーザーも多い。一方で、同社が買い取って、“スマート”な家に生まれ変わらせて、販売するという事業も展開している。「売り依頼を受けたものの、そのままでは売買成立が難しいという物件に遭遇することも少なくないんです。そういった物件には、リノベーションやリフォームを実施するわけですが、その際に、そういった機能拡充を実施して販売することで、売却活動がスムーズにいくことが多いのです」(同氏)。

全面リノベーションを実施。電気容量、通信回線を確保

 同社が手掛けたある事例を紹介しよう。売り主から「少しでも早く売却したい」と相談を受けたその物件は、千葉県市川市にある、築39年の分譲マンション。専有面積は54.94平方メートル。設備も含めて老朽化が激しく、間取りも今の時代のニーズにはまったくそぐわなかった。このままでは売買はまとまらないと考えた同社は、買い取ってリノベーションと、“スマートルーム”リフォームを実施し、その上で再販することを決定した。

 まず、専有部の配管などは全て新品に交換し、間取りを変更。LDKを新設し、隅には4.5畳の高床の和室を新設した。なお和室の間仕切りは取り外しが可能で、収納スペースに格納することで、より広い空間を活用できるようにした。

 水廻りも含めて設備はすべて刷新。浴室はフルオートバスを、キッチンはL字型のカウンターキッチンを導入。新築マンションと同等の利便性を享受できるようにした。
 さらなる快適性向上へ、クロスにもこだわった。部屋によりクロスの色調を変化させると共に、リビングには防カビ機能を、和室には消臭機能を、また、洋室にはマイナスイオンを放出する機能を持つクロスを選択した。

入居者に“スマート生活”を提案

 “スマートルーム化”については、電気容量を確保し、配線を見直した上で、通信回線も確保。築古物件にもかかわらず、インターネットの利活用、それを踏まえてのスマート家電の導入もストレスなく実施できるよう整備した。その上で、来訪者録画機能付きのインターフォンや、防犯に加え、電灯などの消し忘れ、その他部屋の様子を外部から確認するのにも便利な室内カメラを設置した。「マンションの場合、共用部は変更できないという縛りがありますが、本物件ではインターフォンについては変更しても問題ないということを管理組合に確認した上で実施しました」(同氏)。

 リノベーション実施後オープンルームを開催したところ、多数の来場者を得た。同じマンション内の入居者も複数足を運んだというから、自分のマンションがどこまで機能向上させられるか、気にしていた居住者が多かったのかもしれない。

 公開からわずか一ヵ月で購入者が決定。部屋ごとに違う壁紙の色のセンスや、腰掛けたり横になって休むのに使い勝手がいい高床式の和室について、特に気に入ってもらえた様子だったという。そして何より、新築の相場価格と比較すると半額以下の価格で、新築物件とそう変わらない生活環境を入手できた点について、非常に満足したようだ。

 なお、同物件では上記の機器の導入にとどまったが、同社ではリフォーム提案の際、外出先からリモート操作できる設備や、ブレーカーに設置することで外出先から消費電力をチェックできる計測器といった最新設備の導入など、さまざまなハイテク機器についても、積極的に提案しているという。

 同社では、売却希望者・購入希望者のマッチングを早期に進めるためにも、こうしたリノベーション・リフォームをますます積極的に取り入れていく考えだ。(NO)

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