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東京、大阪の7月末のオフィスビル最新状況

 三鬼商事(株)は9日、7月度の東京・大阪のオフィスビル最新状況レポートを発表した。

●東京の最新状況
 東京ビジネス地区の7月末時点の平均空室率は3.41%で、対前月比0.16ポイント増となった。大規模ビル・大型ビルが相次ぎ完成したことや、今秋から来春にかけて本社移転などを予定しているテナント企業からの解約予告が出てきたためと思われる。しかしながら一時的に募集面積が増加したものの、成長企業のオフィス需要は底堅く、品薄感は強まっている。
 大型新築ビルの募集状況も好調。引き合いが活発化しており、竣工時に募集面積を残すケースも多いが、高稼動を予定するビルがほとんど。
 大型既存ビルにおいても、割安感のある設備条件の整ったビルでは空室が発生しても募集開始後に引き合いが強まるケースが見られる。賃貸相場も底を打ち、平均賃料の改善が鮮明になっている。
 なお、千代田区の平均空室率は2.84%(対前年末比0.46ポイント増)。7月は大型既存ビルの空室在庫が減少したものの、同月竣工の大型ビル1棟の募集が出てきたためで、空室面積がやや増加した。しかしながら同区の空室率は2%台後半で推移しているため、品薄感は強まり安定した市況で推移、賃料相場も下げ止まっている。

●大阪の最新状況
 大阪ビジネス地区の7月末時点の平均空室率は9.75%(対前月比0.08ポイント増)。これは7月に完成した「大阪明治生命館ランド・アクシス・タワー」(淀屋橋・本町地区)およびの「四ツ橋センタービル」(船場地区)の大型ビル2棟が相次いで竣工したものの募集面積を残したためである。しかしながら大型新築ビルのオフィス需要は依然として堅調なため、両ビルも今後内定や成約が出てくると思われる。
 また、年内最大規模の供給物件である新大阪地区の「ニッセイ新大阪ビル」(10月完成予定)の募集は好調で、満室稼動となる見込み。
 一方、既存ビルの空室率はほぼ横ばいで推移しており、空室在庫の増加傾向には歯止めがかかっているが、夏場のため、引き合いは減少している。
 なお、北浜~長堀地区の平均空室率は11.21%(対前年末比0.56ポイント増)。御堂筋エリアでは全般的に活気がなく、銀行・証券会社の統廃合の影響もあって1階の空室増加やビル売却も見られる。空室率11%超の市況では賃料相場の下落も鮮明となり、今後の秋のオフィス需要期に向け、賃貸条件や設備改善により柔軟な対応が必要になると思われる。


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