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「不動産デリバティブ研究会報告書」を公表/国交省

 国土交通省は25日、「不動産デリバティブ研究会報告書」を発表した。

 同省は2007年2月、諸外国における不動産デリバティブの現状を分析するとともに、本格的な不動産デリバティブ登場に備え、あるべき条件を検討することを目的とした「不動産デリバティブ検討会」(座長:川口有一郎早稲田大学大学院教授)を設置。今回の報告書は3回に渡り検討してきた内容をまとめたもの。

 報告書では、1991年に世界初の上場不動産デリバティブ市場が創設された英国で、トータルリターンスワップ(TRS:不動産の総合収益率とロンドン銀行間取引金利などの金利を交換するスワップ契約)などを中心に市場が拡大。TRS市場が1兆4,000億円規模になっていることなどを紹介。日本でも、不動産のリスク資産化の進展、直接金融や市場型間接金融の進展、一般事業法人の不動産リスク上昇など、デリバティブ登場の機会が高まっているとした。

 また、不動産デリバティブのメリットとして、(1)効率的なリスクシェアリングによる不動産市場の安定化(2)新しい資産運用機会の創出(3)透明性のある価格体系と新たな市場情報の発信などをあげる一方、デメリットとして(1)ボラティリティのさらなる拡大の可能性(2)投機的なデリバティブ市場の可能性(3)実物不動産や証券化不動産市場への資金流入減少の可能性、を指摘している。

 こうした背景から、今後、検討・実施すべき施策として(1)不動産デリバティブも視野に入れた幅広い情報収集の実施(2)良好な不動産デリバティブ市場が成立するための条件整備(3)不動産デリバティブについての普及・啓発および研究の促進をあげている。

 詳細は同省ホームページまで。


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