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2050年の6大都市圏、都心部での高齢化が加速/三井住友トラスト基礎研究所が予測

 (株)三井住友トラスト基礎研究所は26日、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・仙台の6大都市について、1995年と2010年の国勢調査(町丁・字等別)における年齢帯別人口、および国土交通省が試算した50年における年齢帯別の将来人口(1キロ平方メートルごとの地点別)をもとに、都市中心からの距離帯による高齢化率(65歳以上人口比率)の変遷の分析結果を発表した。

 95年は都市中心から0~1km圏の地域の高齢化率は18%、10~11km圏は12%、20~21km圏は10%で、10年は0~1km圏が19%(95年比1ポイントプラス)、10~11kmが19%(同7ポイントプラス)、20~21kmが19%(同9ポイントプラス)。郊外部ほど高齢化率の上昇幅が大きくなった。一方、50年には0~1km圏が46%(10年比26ポイントプラス)、10~11km圏が38%(同19ポイントプラス)、20~21km圏が38%(同19ポイントプラス)と、都心部ほど高齢化が加速すると推察した。

 高齢人口については、50年にかけて都心から郊外まで増加を続ける見込み。特に東京都心から1~13km圏の地域では、高齢人口密度が4,000人/キロ平方メートルを超えるとし、東京の都心近郊において、高齢者の集積が高い“シルバーリング”と呼べる圏域が形成されると予想している。
 また、出生率については、郊外に向かうにつれ徐々に高くなり、都市中心から15~20km圏以上遠い地域では「子供女性比(≒出生率)」(女性1人に対しての子供の数)は1.2~1.3程度であるものの、5km圏の東京都心区では平均的な子供女性比が0.86、5~10km圏でも平均1.01と低い数値にとどまっている。

 以上の結果から、同社では、今後都心部の高齢化が郊外部と比べ加速すると分析。東京圏以外の各大都市圏においても同様のパターンが確認されていることから、介護や医療・年金といった社会保障システムの持続可能性を維持する上で、都心部で特に低い出生率を引き上げるための子育て環境の整備など、「高齢化率の上昇抑制につながる施策」が喫緊の課題としている。


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