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東京オフィスビル、17年以降空室率4.5%前後、賃料上昇幅は縮小と予測/オフィス市場動向研調査

 (一財)日本不動産研究所と三鬼商事(株)の共同研究会である「オフィス市場動向研究会」は21日、2014~20年および25年の東京・大阪・名古屋のオフィス賃料予測を発表した。

 東京ビジネス地区では、13年は新規供給が平均より少なく、賃料が3.3%上昇と反転した。14年は新規供給が過去平均より少なく、賃料上昇傾向が継続して6.3%上昇、空室率は5.3%と大きく低下する。15年も賃料回復の流れが継続するため、賃料は9.3%上昇、空室率も4.6%まで低下する見込み。
 16年は新規供給が約44万坪と過去平均の1.5倍となるが、空室率は4.6%と低く市況が良いため賃料への影響は少なく、賃料の上昇幅は5%程度を維持。17年は新規供給は過去平均程度、経済も比較的安定していることから空室率は4.6%、賃料も2.6%の上昇と予測。その後も空室率は4.5%前後でほぼ横ばいとなり、賃料上昇幅は縮小する。
 25年までは経済成長率の予測が低いことから、空室率が4%前半でほぼ横ばいとなり、賃料も微増するにとどまるとみている。

 大阪ビジネス地区は、13年にグランフロント大阪の竣工等で新規供給が急増したため、空室率は9.7%まで上昇したが、需要の増加等により賃料は1.2%程度の下落にとどまった。14年は新規供給が1.1万坪と過去平均より少なく、空室率は8.1%まで大きく低下、賃料はほぼ横ばいながらわずかに上昇に転じている。さらに15年は空室率が7.8%まで低下し、賃料は3.3%上昇と上昇幅がやや拡大する見込み。
 16年は、新規供給が1.5万坪と少なく、空室率は7.4%に低下し、賃料も4.8%上昇と上昇幅が拡大。17年も新規供給が過去平均より少なく、空室率は7.2%に低下、賃料も4.7%上昇する。18年以降は新規供給が少ないと予測されていることから、空室率は緩やかに低下し20年に6.5%へ、賃料の上昇傾向も年率3~4%の上昇が継続すると見ている。
 25年までは空室率は穏やかに低下して5.6%となり、賃料は年1%前後の上昇が継続する見込み。

 名古屋ビジネス地区は、15年の大量供給を控えて、14年は新規供給は予定されておらず、空室率は8.1%まで低下、賃料は4.2%上昇。15年は名古屋駅周辺で2棟の大型ビルが竣工する予定で、新規供給が過去最大の8.5万坪が見込まれることから、市況が悪化し空室率は10.5%まで大きく上昇、賃料も1.4%下落する見込み。
 16年も2棟の大型ビル竣工により、新規供給が過去平均の2倍以上になる予測で、空室率は11.5%、賃料もさらに4.0%下落するとみられる。17年は空室率はさらに上昇して11.8%となり、賃料もさらに3.5%下落するが、18年以降は、空室率が低下し、賃料指数は過去最低の91まで低下する。この安い賃料を背景に19年から値戻しが始まり、ようやく上昇するが、20年の賃料指数は95に留まり、厳しい状況が継続する見通し。
 25年までは賃料も空室率もやや回復傾向で推移し、賃料指数はやや上昇の102、空室率は9.2%と予測している。


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