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「産学連携リノベ」で最終プレゼン。工事着手へ/横浜国大・NENGO・リスト

公開最終プレゼンテーションには、3社の関係者が多数詰めかけた
各チームは、横浜国大大学院生、NENGO、リストの実務者の産学混成。15分の時間以内に、プランの目的や特徴をスライドや立体模型などを使って説明した
単なる机上の空論ではなく、実際にプロジェクトとして実行に移すため、きちんとした収支計画の提出も求められ、参加者からも厳しい指摘がなされた

 横浜国立大学と(株)NENGO、リスト(株)は22日、2014年11月から共同で推進してきた「産学連携リノベーションプロジェクト」の最終プレゼンテーションを開催した。

 同プロジェクトは、空室のある賃貸集合住宅をリノベーションにより魅力を向上させ、物件を基軸に地域活性化を促し、エリア価値も向上させるのが狙い。横浜国立大学大学院建築都市スクールから8人、NENGO・リストからそれぞれ8人がプロジェクトに参加し、2チームを構成。リストが管理する横浜市保土ヶ谷区内の単身向け賃貸集合住宅2件のリノベーションを、チームに分かれて計画・実施する。各チームは、これまで2回のプレゼンテーションを実施。それらを踏まえ計画を練り直し、最終プレゼンに臨んだ。

 最終プレゼンは、各チーム15分以内に、リノベーションのテーマや内容、期待される効果、地域との関わり、事業収支などを盛り込むことが義務付けられ、プレゼン後に3社の関係者などを中心とした来場者に、質疑やアンケート等で意見を求めるという流れで行なわれた。

 築26年、空室率46%、ワンルーム24戸の「コットンハウス」をリノベーションするチームは、横浜国大生をターゲットにしたシェアハウスを計画。各階の隣り合う2つのワンルームをジョイントした2人用のシェアルーム、2階に共用リビングを設置する。部分的なリノベーションで投資を抑えながらも、物件内に新たな動線を作ることで、既存入居者も巻き込んだコミュニティ形成を狙った。物件管理では、コミュニティを促す「村長」を置くという提案も行なった。

 一方、築44年、空室率30%、2K・16戸の「ヒルトップマンション」チームは、料理人や大工など、他の入居者や入居希望者を巻き込んでコミュニティを活性化してくれる人を入居者に選定し、痛みの激しい空室を、その人が自在に才能を発揮できるよう、400万円をかけリノベーション。他の空室は予算90万円でカタログからリノベーションアイテムを選択できるよう提案。将来的には、屋上の住戸を共用部へ転換し、コミュニティの起点とするアイディアも盛り込んだ。

 プレゼン後の質疑応答では、各チームのアイディアに称賛の声があがる一方で「コミュニティに係るトラブルが発生した場合の解消手段は?」「(多額の改修費をかけた部屋の)短期解約のリスクをどうみているのか」「もともと人気のある最上階の部屋をわざわざコストをかけリノベーションする意味はあるのか」「ユニークな入居者を集めるには、もっと賃料設定を柔軟に考えたらどうか」といった、事業化を踏まえた厳しい指摘もなされた。

 今後両チームともに、事業化に向けオーナーの承認を取り付け、早ければ2月中にも工事着手、入居者募集を開始する予定。


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