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東京の大規模オフィスビル供給、16~18年は都心3区集中が顕著/森ビル調査

 森ビル(株)は21日、東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査結果(速報版)を発表した。

 1986年より同年以降に竣工した、事務所のみで延床面積1万平方メートル以上のオフィスビルを対象に、需給動向を調査しているもの。一般に公開されている情報を基に、2015年12月に実施した現地調査ならびに聞き取り調査によって供給量を算出。新規需要(吸収量)は、該当年の新規稼働床面積(前年末の空室面積+新規供給面積-当年末の空室面積)を指し、供給量と比較するため、賃貸面積を大規模オフィスビルの平均有効率で延床面積に割り戻している。

 東京23区の15年の供給量は、109万平方メートル(前年比25%増)と、3年ぶりに過去平均(103万平方メートル)を上回った。16年は102万平方メートルを予定と過去平均並みになる見込み。

 今後5年間(16~20年)の平均は114万平方メートルで、過去平均を上回る。特に18年以降の供給量が平均を押し上げていくと予想。前回調査(15年8月末時点)では19年の供給量が183万平方メートルと大きく積み上がるとみていたが、建築費高騰などの影響でその一部が20年に後ずれ。19年が124万平方メートル、20年が137万平方メートルと、各年の供給量の差が縮小。供給量が平均化するとした。

 都心3区(千代田区、中央区、港区)における供給量は15年が78万平方メートル(前年比11%増)。16年が77万平方メートルの見込み。都心3区への供給集中は進み、今後5年間(16~20年)の平均は77万平方メートルと過去10年間(06~15年)の平均(68万平方メートル)を上回ると予想した。特に18年の都心3区供給量は105万平方メートルと、06年以来12年ぶりに100万平方メートルを超える見込み。都心3区への供給割合は、今後5年間で68%と、過去5年間(61%)を上回る。各年で見ると、今後3年間(16~18年)は7割を超えるとしている。

 23区における、15年の吸収量は114万平方メートル(前年比18%減)、吸収量が供給量を上回った。15年末の空室率は3.9%(前年末比0.4ポイント減)と、下期の吸収量が予測以上に積み上がった結果、昨年予測の4.3%より改善した。

 一方、都心3区の15年の吸収量は75万平方メートル(前年比29%減)で供給量を下回った。上期に大規模オフィスビル数棟が空室を抱えたまま竣工し、一時的に空室率は4.3%まで悪化したものの、下期にかけて空室が順調に消化された結果、15年末の空室率は3.6%(前年末比0.1ポイント増)に落ち着いた。16年は大規模ビルの竣工などはあるが、すでに6割が決まっている状態で、15年同等もしくはそれを上回る吸収量が予想されるとした。

 同社営業本部マーケティング部部長の山口 嘉寿明氏は「今後はインフラの整備や企業集積の影響でさらに都心3区での供給が集中。需給バランスもとれていく」と述べた。


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