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空き家や民間賃貸ストック活用した住宅セーフティネット、制度構築へ向け論点整理/国交省

 社会資本整備審議会住宅宅地分科会の「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」(委員長:浅見泰司東京大学大学院工学系研究科教授)の2回目となる会合が、21日開かれた。

 今回の会合では、前回示された空き家や民間賃貸ストックを活用した住宅セーフティネットのイメージ(住宅セーフティネット機能を持つ民間住宅を、家賃債務保証を引き受ける事業者情報なども含め、地方公共団体に登録、入居希望者に情報を提供する)、その構築のための論点整理を行なったほか、地方公共団体の住宅セーフティネットの現状や新制度への要望を聞き取った。

 新たな制度構築にあたっては、地域の実情に合わせ各自治体の判断で対象とできる世帯を設けること等対象世帯のあり方、地方公共団体の役割、提供する住宅の性能と改修のための補助などのあり方、家賃滞納時のルール作りや家賃債務保証や物件管理のあり方、居住支援協議会を中心とした居住支援の仕組みについてなどの論点が挙がった。

 また、東京都、大阪市、川崎市の住宅セーフティネットに係る取り組みと他の自治体も含めた要望を取り上げ、公営住宅や生活保護制度など福祉政策との役割分担、財政支援のスキーム、対象世帯や登録要件の明確化、国・都道府県・区市町村の役割分担などの課題を指摘した。一方、制度運用の受け皿が期待されている居住支援協議会は、全都道府県含む61協議会が設立されているものの、市町村の参加率が低いこと、居住支援サービスを提供している協議会が少ないことなどが指摘された。

 参加した委員からは「改修費への支援などは全国一律にするのではなく、対象とする住宅を考えていくべき」「居住者と住宅のマッチングは、行政が主導となってやっていくべき」「オーナーの滞納に対する不安を払しょくする仕組みが必要」「一般の人と住宅確保要支援者が混在する住宅については、一般の人へのフォローが大事」「災害時の“みなし仮設住宅”のように、“みなしセーフティネット住宅”のような仕組みとして、オーナーに広く周知していくべき」などの意見が挙がった。

 同省では、これまでの意見をまとめ、具体的な住宅セーフティネットの構築にとりかかる。7月22日開催の次回会合で、中間とりまとめ案を示す方針。


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