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地場の不動産仲介業の景況感、慎重な見方広がる/不動産流通研究所調査

 (株)不動産流通研究所が24日、2016年4~6月期の「地場の不動産仲介業における景況感調査」の結果を公表した。アットホーム(株)に研究委託し、四半期ごとに実施している調査。

 北海道、宮城県、首都圏、静岡県、愛知県、近畿圏、広島県、福岡県のエリアごとに前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出。DIは「50」が前年並みを示す。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、同一都道府県内で5年を超えて不動産仲介業に携わる2万4,205店の経営者や役員、管理職を対象にインターネットで調査。有効回答数は630店。

 16年4~6月の賃貸仲介DIは、北海道47.5(1~3月期比19.4ポイント上昇)、宮城県35.7(同6.8ポイント低下)、首都圏39.9(同3.2ポイント低下)、静岡県40.0(同4.6ポイント低下)、愛知県37.0(同9.3ポイント低下)、近畿圏41.7(同1.2ポイント低下)、広島県42.9(同1.8ポイント低下)、福岡県36.1(同3.4ポイント低下)となった。全エリアで50を割り込み、北海道以外ではDIも低下するなど、全体に市況の厳しさを感じさせる結果となった。

 16年7~9月期の見通しDIは、北海道37.5、宮城県34.5、首都圏35.5、静岡県44.0、愛知県29.3、近畿圏35.8、広島県39.3、福岡県34.2と、7エリアで40を下回るなど、慎重な見方が広がっている。

 不動産会社からは、「極端に安いか、高い賃料の物件への問い合わせ、成約が多く、中間層の物件が動かない」(千葉市ほか)、「景気減退から、少し様子見ムードにある」(福岡県久留米市)などといったコメントが聞かれた。また、「新築物件が増えているため、築年数15年以上の物件が非常に決まりにくい」(埼玉県川越市ほか)など、新築賃貸物件の供給過多による影響を指摘する声も多い。

 売買仲介DIは、北海道41.3(同3.3ポイント低下)、宮城県41.1(同1.1ポイント上昇)、首都圏42.1(同3.3ポイント低下)、静岡県39.4(同5.2ポイント低下)、愛知県32.9(同6.6ポイント低下)、近畿圏43.3(同2.8ポイント低下)、広島県44.2(同0.4ポイント上昇)、福岡県52.8(同2.2ポイント低下)。福岡県はDIはやや低下したものの、50を超えており好調が継続している。ただ全体的には、6エリアで前期のDIを下回るなど、厳しい市場となっている。

 7~9月期の見通しDIは、北海道43.8、宮城県42.9、首都圏41.0、静岡県40.0、愛知県32.4、近畿圏37.8、広島県42.3、福岡県46.1。6エリアで前期よりも見通しDIを下げるなど、賃貸仲介同様に、慎重な見方が広がっている。

 不動産会社からは、「価格上昇から売り需要が増加、逆に購入は手控えている」(東京都港区)、「高額物件の成約が増えてきており、客層は二極化している」(埼玉県川口市)などといったコメントが聞かれた。


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