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「定期借地権の日」で記念大会開催/首都圏定借推進機構

「定期借地制度が活用されているという事実を見ると、この制度は法制度として成功したといえるのではないか」と述べる同協会理事長の勝木雅治氏
基調講演の様子

 NPO法人首都圏定期借地借家権推進機構は12日、平成28年「定期借地権の日」記念大会を開催した。

 冒頭同機構理事長の勝木雅治氏は「定期借地制度誕生から25年目となった。住宅においてはあまり伸びはないが、事業用は勢いよく広がっている。このように定期借地制度が活用されているという事実を見ると、この制度は法制度として成功したといえるのではないか」と挨拶した。

 併せて同氏が同制度の活用実態について、3月に発表した第3回目の「定期借地権の地代利回りに関する実態調査報告」から、累計型の実質地代利回りの調査結果を報告。住宅系一般定期借地が228件、実質地代利回りは1.81%、民間事業用が102件、同4.89%、自治体系事業用が126件、同3.18%、自治体系一般が19件、同2.59%、定期借地マンションが65件、同1.80%であるとし、国や自治体の定期借地利用が著しく増加していることを示した。その理由として同氏は「PRE戦略の一環、PPP活動として利用しているようだが、国と自治体の財政余力が厳しくなっていることに加え、民間の投資意欲を喚起する目的もあるのではないか」と述べた。

 また、(株)住宅新報社論説主幹の本多信博氏が「定借時代の予感」と題し基調講演を行なった。どの国も経験したことがない超高齢社会を迎えるに当たり、企業の雇用のあり方が変化し、それに伴い働き方、住み方の多様化が進んでいくだろうと推測。住宅取得に関する意識も土地を取得せず建物だけ所有するという方向に変わっていく可能性があるとし、同氏は「これからはその建物の価値によってその土地の価値が決まっていくのではないか」と述べた。また、建物譲渡特約付借地権について触れ、「賃貸マンションを企画するときから分譲への切り替えを想定し、将来買い取りも可能とすることで若者層が取得可能となるようなことも考えていく必要がある」(本多氏)と指摘した。


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