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既存住宅の時代の集客戦略についてセミナー

 (公財)日本住宅総合センターは、11月24日、都道府県会館(東京都千代田区)において、「既存住宅は最初の選択肢になるのか~住宅状況調査、安心R住宅 etc. 潮目の変化を事業成長につなげる方法」 と題し、セミナーを開催した。

 国土交通省土地・建設産業局不動産業課課長補佐・角谷大介氏が「既存住宅流通の促進に向けた安心できる取引環境整備の取組み」をテーマに、また、(株)リクルート住まいカンパニー SUUMO編集長・池本洋一氏が「住宅政策と消費者変化を活用した既存住宅の最新集客戦略」をテーマにそれぞれ講演。

 角谷氏は、日本の既存住宅流通市場の現状や課題について、欧米諸国に比べて流通シェアが低いのは、売り主・買い主間に既存住宅の品質に関する情報の非対称性が存在することが大きな要因の一つになっているとし、その対策として来年4月から施行される宅建業法改正によりインスペクション(建物状況調査)と既存住宅売買瑕疵保険加入の促進を図っていくことを説明。
 加えて、本年6月に「改正宅地建物取引業法に関するQ&A」を公表し各地で説明会を実施してきたが、その成果を踏まえた追補版を作成し、年明けから説明会を実施する予定であると語った。
 併せて、既存住宅流通の活性化に向けた建物評価手法の改善、「安心R住宅」の普及に向けた取り組みについての報告、さらに空き家問題解消に向けた「地域の空き家等の流通モデルの構築」について説明した。

 一方、池本氏は、今や住宅探しをする際にほとんどのユーザーがインターネットサイトを利用しているという中で、既存住宅流通活性化に向けてポータルサイトはどういう役割を担っていけばいいかを考察。「ポータル同士が競うのではなく、ルールメーカーとしての自負を持って、将来望まれる市場作りに向けて共同で社会基盤整備をしていくという気持ちで取り組んでいる」と語った。
 例えば、「築何年という基本条件で仕切ってしまうのではなく、築20年でもリノベ済みで耐震適合、瑕疵保証付、住宅ローン控除も使えるという物件が抽出できるような検索サイト作りをしている」現状を解説。利用率はまだ低く、ヒットする物件数が少ないものの、「リノベーション」という言葉にユーザーの関心が高まってきており、「新築マンション」と検索ボリュームが拮抗するまでになってきたとしている。
 また、既存住宅売買の集客では、1件1件の個別性を打ち出しネガティブな面もさらけ出すような主観的な広告が効果的だとの実例を紹介。新築住宅中心の価値観で作られてきたこれまでの物件情報検索や集客営業のあり方を変革していく必要性について語った。


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