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国交省の若手が、2030年を想定し問題提起

中間報告会の様子。石井国交相や毛利事務次官らが参加した

 国土交通省は29日、「政策ベンチャー2030」の中間報告会を実施した。

 2030年ごろのあるべき日本社会の姿を構想し、それに向けた中長期的な国土交通行政のあり方を議論するために17年10月に発足した組織。メンバーは同省の中堅・若手職員。これまで、「人口減少」、「災害等のリスク」、「デジタル技術の発展によるリアル社会からの隔絶」など、30年に起こりうる諸問題を抽出してきた。中間報告会ではその結果を、石井啓一国土交通大臣や毛利信二国交事務次官らに報告した。

 「人口減少」については、利用者の少ないインフラを維持するなど非効率な公共サービスに国の財源が投入されているケースがあると課題点を指摘。「戦略的な撤退」を行ない、撤退ラインの内側にインフラ・教育機関などの都市機能を集約。撤退ラインの外側では公共公益サービスを地域住民に負担させるなどして、受益と負担のバランスをとり、持続可能な引き締まった国土構造へ転換する施策が必要であるとした。

 「災害等のリスク」については、近年頻発している自然災害等を背景に、“絶対安全”信仰を捨て、リスクはあるものと認める必要があるとして問題提起。「デジタル技術の発展によるリアル社会からの隔絶」は、ネット環境の発達により外出する人が減ると予測し、問題提起した。

 これについて毛利事務次官は、「政策ベンチャー2030のテーマは“未来シナリオ ~タブー視されてきた難題にチャレンジ!”だが、非効率な公共サービスに財源をさいているなど、現状についての刺激的な指摘もあり、早速タブーなき問題提起をしてくれたと感じた」とコメント。

 石井国交相は、「中間報告については、省内外からいろいろな声が挙がるだろう。中には厳しい声もあると思うが、さまざまな立場の人と意見交換することは必要な過程であるし、皆さんの力にもなる。今後は、課題解消に向けた、国土交通省らしい大胆な具体策の検討を期待している」と激励し、会を締めくくった。

 6月までに課題解消に向けた施策を検討し、まとめる予定。


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