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EC市場拡大が実店舗に与える影響は微小

 シービーアールイー(株)(CBRE)は28日、特別レポート「CBREリテーラー意識調査2018」を発表した。

 Eコマース(以下、EC)市場拡大の影響を受け、ECがリアル店舗に与える影響について調査した。調査期間は2018年3月2~36日。調査対象はリアル店舗を持つファッションブランド(33.1%)、ラグジュアリーブランド(11.0%)、ドラッグストア(8.7%)等の店舗開発実務担当者。580社969人にアンケートを配信、有効回答は112社127人。

 EC販路を持っているかという問いでは、「自社ならびに他社のEC販路を利用している」と回答した会社が全体の48.8%と最多。「自社のEC販路のみ」が34.1%、「他社のEC販路のみ」が6.5%と続き、9割の会社はEC販路を確保しているという結果になった。

 EC市場の拡大により、リアル店舗のショールーム化現象が進んでいるかについては、80.7%が「進んでいない」と回答。一方、ファッションや家具・雑貨を扱う業種では、商品のサイズやカラーが豊富であるため、実際の購入はEC販路がメインとなりつつあることから、「進んでいる」と回答したリテーラーが多かった。

 EC市場の拡大が、新規出店する店舗面積に影響するかについては、「影響しない」とするリテーラーが76.4%に上った。一方、「ECでは得られない体験イベント等を実施するため面積を拡大した」「店舗のショールーム化に伴い、立地を重視したいが、出店コストを抑えるため面積を小さくした」との回答もそれぞれ1割程度という結果に。

 今後、既存店舗や新規出店数を減らすかについては、「どちらも減らさない」という回答が77.4%と最多。理由は、「認知度の向上を含むブランディングにはリアル店舗が重要なため」であった。
 そのため、新規出店時には「商業エリアとしての環境や客層」「歩行者量や歩行者の動線」「視認性のよさ」を重視する傾向であることが分かった。

 同社は、「リテーラーの9割がEC販路持っているものの、リアル店舗の市場規模はEコマースの約7.6倍であることから、EC市場の影響を大きく感じている企業は少ない。一方、ECとリアル店舗のすみ分けとして、リアル店舗では体験型イベントを実施するなど手軽に商品を試してもらおうという動きが見られている」とまとめている。


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