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日本不動産、注目セクターは生活必需品主体のSC

 ラサール インベストメント マネジメントインク(LIM)はこのほど、「2018年グローバル不動産投資戦略」の中間レポートを発表。27日、ラサール不動産投資顧問(株)がメディア向けに説明会を発表した。

 18年下期のグローバル市況について、同社アジア太平洋地域投資戦略・リサーチ責任者のエリーシャ・セ氏は、「政治動向や不動産市場、貿易摩擦が複雑に絡み合い、影響し合っている状況だが、適温経済は持続している。ドイツ、日本、シンガポール、韓国、英国、米国といった先進諸国は6~9年間景気を拡大しており、ネガティブな事象が発生しない限り、この流れは続くだろう」と解説した。

 北米については、上場REITが保有資産に対し割安になっており、特に商業モールでは実物市場と商業モール特化型REITとの間に価格ギャップが発生していると指摘。ラサールではスーパーなど実需型のテナントをメインとする商業モールに投資し、良好なパフォーマンスを獲得できているとした。北米で投資を推奨するセクターとして、新規供給が制限され、既存物件の利益が増加する「郊外型の賃貸住宅」、および賃料成長が鈍化しているもののこれからも需要の高まりが期待できる「物流施設」を挙げた。

 アジア太平洋では、不動産が安定した投資対象であることは疑いがないとした上で、不動産ファンダメンタルズのサイクルはシンガポールが回復期、豪州が拡大期、韓国、中国が最悪期にあるなど、ばらつきが大きい点について指摘した。また米中の貿易戦争の影響がアジア全体、特に日本、香港、韓国、豪州に悪影響を及ぼす可能性がある点についても触れた。

 日本の不動産マーケットについては、失業率の低下が進むことで今後賃金上昇が必ず発生、これによる購買意欲の向上等によりテナント需要が必ず高まると説明。消費増税を控え低金利政策の継続は間違いないこと、10年国債に対するイールドスプレッドはなお高水準にあることから、不動産投資に対する需要は引き続き旺盛であるとした。
 日本における推奨セクターについては、生活必需品主体のショッピングセンター、都心部の住宅、大型物流施設を挙げた。またコア不動産投資では価格が高止まりしていることから、同社ではサブマーケットの物流施設、オフィスについても物件を選別した上で投資していく計画を明らかにした。

 なお、同社は20年までに、日本における運用資産を2,500億円増加させる計画。


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