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ライフスタイルホテルが新たな投資機会に

フォーラムの様子

 JLLは22日、コンラッド東京(東京都港区)で「不動産&ホテルフォーラム2018」を開催。約400名が参加した。

 日本の不動産投資マーケットでは伝統的な投資アセットが不足している中、従来のラグジュアリーホテルや宿泊特化型ホテルとは一線を画すコンセプトの「ライフスタイルホテル」など新たな投資機会が発生している等を踏まえ、こうしたマーケットの新たなトレンドを有識者が解説した。

 「ライフスタイルホテル」とは、宿泊者がユーザー同士や周辺地域とのコミュニケーションが図れる等、従来とは異なる付加価値を持つホテル形式。すでに海外では人気があり、近年日本でも新たなトレンドとして注目されている。フォーラムでは、日本でライフスタイルホテルの開発や運営を行なう登壇者によるパネルディスカッションを実施。トレンドとなった理由や、従来のホテルとの違いについて議論が交わされた。

 ディスカッションでは、「インバウンドの増加」により新たなニーズが生まれたことが、ライフスタイルホテルの普及につながったとの指摘が多くなされた。「運営しているホテルの利用者は8割が外国人。海外の雑誌や、飛行機の機内冊子でのアピールが集客につながっている」((株)テイクアンドギヴ・ニーズホテル・月川敦之氏)。2017年11月に「モクシ―錦糸町」(東京都墨田区)をオープンした(株)パシフィカ・キャピタル代表取締役社長のセス・サルキン氏は「日本人は知らない人と交流するのが苦手なため、ライフスタイルホテルが受け入れられるには時間がかかったが、開業から1年経過した今、ロビーは人で溢れ、さまざまな交流が生まれている」と日本人への浸透も実感しているという。

 「ライフスタイルホテルと従来のホテルとの違い」では、「ローカルとの交わり」について、すべての登壇者が言及した。「キャノピーブランドでは地域アーティストの作品や、コーヒー、食材を提供するなど、地元らしさや地域の文化を大切にしている。また、フロントでのチェックインをなくし、ユーザーが好きな時間に出入りできるようにし、周辺地域を楽しむベースとして滞在してもらえるようにした」(ヒルトン アジア太平洋・ダニエル・ウェルク氏)。

 また、セス・サルキン氏は、観光立地でなくとも開発出来る点が、新たなトレンドアセットとして注目を集める要因だとした。「ユーザー同士の交流や、充実した共用部で頻繁にイベントを行なう点が、宿泊特化型ホテルとの差別化ポイント。ここでしかできないことを目指してホテルを訪れるユーザーが多いため、観光に良い立地でなくとも開発し、収益性を上げることができる」(同氏)。


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