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産官学の有識者が今後の不動産業について解説

シンポジウムの様子

 (公社)不動産学会と資産政策評価学会は24日、合同メインシンポジウム「不動産市場の構造変革と産官学の新たな連携」を開催した。

 今後の不動産市場・不動産ビジネスの発展に向け産・学・官、各分野に求められていること、また新たな連携について、各分野の有識者が報告した。

 産業分野では、森ビル(株)取締役常務執行役員の河野 雄一郎氏が時代の変化に対応しうる制度のあり方について解説。「不動産開発は、テクノロジーの進化やそれに伴うライフスタイルの変化にどう対応するかが重要だが、変化の速度は想像を超える。各種制度も時代によって変わるが、今後は、パソコンのOSをアップデートするように、ハードは建て替えなくとも既存の建物にも新たな制度を適応できるようになれば」と話した。

 学問の分野では、日本大学経済学部教授・日本不動産学会理事の安藤至大氏が「不動産学の発展に向け、他分野の研究者・考え方を受け入れることが重要」と解説。明海大学不動産学部長・同学会常務理事の中城康彦氏は、産・学・官連携で物件・エリアの価値を向上した事例を紹介した。
 また、明治大学専門職大学院法務研究科教授・資産評価政策学会学長の岩崎政明氏は「ビッグデータを踏まえた行政法、租税法で必要な改革」について「宅地建物取引事業者による仲介は宅建業法の下で行なわれるものの、近年は資格を持たないIT系の企業が物件の取引につながるオープンなプラットフォームを構築している」と指摘し、新たな規制を設ける必要があるとした。

 行政の立場では国土交通省不動産業課課長・須藤明夫氏が登壇し、国土交通省が推進しているデジタルテクノロジーを活用した取り組み等を紹介。「IT重説も着々と件数が伸びているが、セキュリティや個人情報の配慮に留意しながら推進していきたい」などと話した。


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