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「インフラの波及効果」テーマにシンポ/国交省

シンポジウムの様子

 国土交通省は11日、東京大学本郷キャンパスで、シンポジウム「インフラの波及効果を考える」を開催した。

 道路や鉄道、空港、港湾などのインフラがもたらす、時間移動の短縮や輸送コストの低減、災害安全性の向上、企業立地の誘発といった波及効果の実情や、波及効果の測定方法について紹介した。

 シンポジウムでは、東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏が「インフラの波及効果」をテーマに基調講演。同氏は、新たなインフラの効果を測定する際、単純にそのインフラの利用人口等を調べるだけではなく、「新たなインフラによりどう利便性が上がったか、周辺に新たな産業や、労働力が生まれたかといった波及効果を検討しなければならない」などと、インフラの波及効果測定の重要性を解説した。

 研究紹介では、日本大学経済学部教授の中川雅之氏が「Wider Economic Impacts(広範囲な経済的影響)からみた集積の重要性」をテーマに発表。「ビジネス街の就業人口が増えるとアイディアの交換や仕事のマッチングが進み、イノベーションがおきる」などと、都市人口と経済の関わりについて解説。「人口を集積させるためにはその地域へのアクセス性が重要。インフラの整備により地域間の人的交流を活発化させれば、その地域で暮らす人が少なくとも実質的に人口の集積が可能となる」などと話した。

 パネルディスカッションでは、コーディネーターの国土交通省国土交通政策研究所総括主任研究官の要藤正任氏が「インフラの波及効果の測定を今後どのようにしていくべきか」と問題提起。「交通インフラによって企業経営や家計がどのように変わるのか、マクロの視点で検討すべき」「季節や時間で変動する効果を検証する必要がある」などの意見が挙がった。また、今後のインフラ整備については「働き方改革の流れもあり、長時間の通勤がなくなるなど人々の暮らしも変わる。新たな展開を考える局面にきている」といった声が挙がった。


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