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社整審、「新たな不動産最適活用」へビジョン

 国土交通省の社会資本整備審議会産業分科会不動産部会(部会長:中田裕康・早稲田大学大学院法務研究科教授)は28日、39回目の会合を開き、「新・不動産業ビジョン2030(仮称)」をとりまとめた。語句修正等行なった上で、4月上旬にも公表する。

 同ビジョンは、これから10年間の社会情勢の変化を踏まえ、不動産業の発展を継続的に確保するため、30年ごろの不動産業の将来像と政策課題等についてまとめたもの。社会経済の急激な変化にあたり、これからの不動産業、不動産政策について「時代や地域のニーズを的確に把握し、それに応える不動産を形成するとともに、それらが社会において最適に活用されること、いわば『不動産最適活用』を通じて、個人・企業・社会それぞれにとっての価値創造の最大化を支えることが期待される」とし、「~新元号時代の新たな不動産最適活用に向けて~」というサブタイトルを掲げた。

 不動産業の将来像を「豊かな住生活を支える産業」「我が国の持続的成長を支える産業」「人々の交流の場を創造する産業」とし、「ストック型社会の構築」「安全・安心な不動産取引の実現」「エリア価値の向上」「多様なライフスタイル、地方創生の実現」「不動産教育・研究の充実」などを官民共通の目標として掲げた。

 今後10年程度の間に重点的に検討を要する主な政策課題として「ストック型社会の構築」「安全・安心な不動産取引の実現」「少子・高齢化社会」「外国人・グローバル化」「技術革新・業務効率化」「国際競争力の強化」「地方創生・エリア価値向上」「不動産教育・担い手確保」「投資環境の整備」「現行要件の妥当性検証」という10のテーマを挙げた。「安全・安心な不動産取引の実現」には、賃貸住宅管理業に係る登録制度の法制化が、「技術革新・業務効率化」では不動産取引の電子化、「現行要件の妥当性検証」にはインスペクション説明義務等の16年改正宅建業法の見直しなどが盛り込まれた。人口減少社会下で、開発業、流通業、管理業それぞれで不動産を「たたむ」という視点が、また、不動産流通促進に向けた「心理的瑕疵」という課題の解決も盛り込まれた。

 とりまとめにあたり挨拶した同省土地・建設産業局長の野村正史氏は「平成はバブル発生と崩壊、リーマンショックなど1世代以上の変化があり、中でも人口減少社会に転じるという大きなターニングポイントだった。その終わりに、幅広い議論を通じビジョンをまとめられたのは意義がある。国民経済や生活が複線化・多様化する中で、それを支える不動産・不動産業は、その最適活用のための重要な産業となる。ビジョンを広くアピールし、業界の課題解決のヒントを見つけるテキストとしていただきたい」などと語った。


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