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住宅・建築物の省エネ基準改正で合同会議

 国土交通省と経済産業省は2日、社会資本整備審議会建築分科会建築環境部会建築物エネルギー消費性能基準等小委員会と総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会建築物エネルギー消費性能基準等ワーキンググループの10回目となる合同会議を開いた。

 5月17日に公布された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律」では、省エネ基準への適合を建築確認の要件とする建築物の対象に、中規模(延床面積下限300平方メートルを想定)のオフィスビル等を追加。マンション等に係る計画届出制度の審査手続の合理化、建売戸建住宅を供給する大手住宅事業者が対象のトップランナー制度の注文戸建住宅・賃貸アパートを供給する大手住宅事業者への拡大、戸建住宅等に係る省エネ性能に関する説明の義務付けなどが盛り込まれており、トップランナー制度の全面展開などは公布後6ヵ月以内の施行となっている。

 そのため、合同会議では、注文戸建住宅や賃貸アパートに係るトップランナー基準の設定、これまでの達成度合いを踏まえた建売戸建住宅の同基準の改正、共同住宅の省エネ性能評価方法の簡素化、省エネ基準の緩和対象となる気候風土適応住宅の仕様の例示、地域区分の見直しなどについて検討していく。

 注文戸建住宅や賃貸アパートのトップランナー制度の目標年度については、報告徴収開始年度から5年間のモラトリアムを設ける方向で検討。制度の対象となる事業者が供給する住宅の省エネ性能の現状を踏まえ、事業者ベースで適合率が20~50%程度となる水準として設定する。対象となる事業者の年間供給戸数に関する要件は、建売戸建住宅同様、それぞれの供給戸数のおおむね半分がカバーできる程度を想定。具体的には注文戸建住宅が年間300戸以上、賃貸アパートは1,000戸以上供給する事業者を対象とする予定。委員からは、建築費の相場観を踏まえた水準設定の必要性や、賃貸アパートの専有面積についても考慮すべきといった指摘がなされた。

 また、共同住宅の省エネ性能評価方法の簡素化については、現在住戸ごとの評価となっている外皮性能を住棟全体での評価を導入し、住棟全体の基本情報をもとにモデル化した評価計算方法の導入を検討。その場合、基準の水準をどの程度に設定するか、また省エネ性能評価における影響がほとんどない共用部の評価の合理化についても検討していく。

 8月8日開催の次回会合で、建築物エネルギー消費性能基準等に係る概要案をまとめ、9月2日の会合で省令・告示案を提示。パブリックコメントを経て、10月24日の会合でとりまとめを行なう方針。


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