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郊外団地再生に向けコンビニ併設の地域拠点

「野七里テラス」外観

 大和ハウス工業(株)は29日、1970年代の大規模開発「上郷ネオポリス」(横浜市栄区、総戸数868戸)の再生に向けた取り組みとして、コンビニエンスストアを併設したコミュニティ施設「野七里テラス」をオープンした。

 「上郷ネオポリス」は、JR「港南台」駅よりバス18分。1972年に分譲を開始し、総開発面積は約46万平方メートル。現在は、高齢化率が約50%に達するなど、横浜市で最も高齢化が進んだ地域となっている。人口減少や店舗の閉店等もあり、社会課題が山積するエリアでもある。そこで、同社は2014年より住民との意見交換を開始。その後、16年には同社と自治会がまちづくり協定を締結、学識経験者や(一社)高齢者住宅協会も加わって「上郷ネオポリスまちづくり協議会」を発足してまちの再生について検討してきた。

 買い物・交通の不便や高齢者の見守りや支えあいが必要だという住民の声を反映してコミュニティ拠点を整備した。同施設は、JR「港南台」駅よりバス18分、「上郷ネオポリス」バス停前に立地。敷地面積は589.10平方メートル、鉄骨造平屋建て。延床面積149.78平方メートルで、コミュニティスペース58.05平方メートル、コンビニエンスストア91.73平方メートルで構成する。

 大和ハウスグループの大和リビング(株)が事業主となり、コンビニエンスストアチェーンの(株)ローソンを誘致。店長、アルバイト等はすべて地元住民で賄う。コミュニティスペースは、学校帰りの子供や地元の高齢者、子育て中の母親など、幅広い人たちが立ち寄れる空間として、住民団体が立ち上げた(一社)野七里テラスが地域からサポートメンバーを募って施設内外の美観整備やイベントの企画・運営をする。

 29日に行なわれた「野七里テラス」の開所式で挨拶して同社代表取締役社長の芳井敬一氏は「分譲当時のパンフレットをみると、『夢』が大きくうたわれていた。お客さまにマイホームという夢を提供した当社だったが、昨今の高齢化・少子化という問題は予測できていなかった。しかし、これを放置するわけにはいかない。これまでがお客さまにとっての第1章だとすると、これから第2章が始まる。産官学民一体となってまちを盛り上げていく」などと話した。

 今後、買い物の利便性を高めるモビリティサービスの導入や、大和ハウスグループの総合力を生かしたサービス提供など、ハード面だけにとどまらないまちの再生・活性化に向けた仕組みの導入を進めていく。

開所式後、多くの地域住民が野七里テラスを訪れた
「産官学民の共同作業でまちを活性化したい」と語る芳井社長


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