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六本木ヒルズで協生農法に関する実証実験

循環する生態系ネットワークイメージ

 森ビル(株)は、「六本木ヒルズ」(東京都港区)の屋上庭園で、11月より都市空間における協生農法に関する実証実験を開始する。

 協生農法とは、砂漠化などの土壌劣化が進行し、急速に環境破壊が進んでいる要因となっている生産性と環境破壊のトレードオフからの脱却を目指した新しい農法。多種多様な植物を混生・密生させることで、土地を耕さず、また肥料や農薬も一切使わずに、植物本来の特性を活かして生態系を構築し、土壌の機能を回復させる。

 生物多様性に配慮した都市緑化を推進する同社では、協生農法の考え方を導入することで、さらに都市における生物多様性を促進し、植物を育てながら同時に空気を清浄化したり、ヒートアイランドやゲリラ豪雨などの影響も緩和する様々な生態系サービスを、これまでより高いレベルで育んでいきたい考え。

 今回の実験では、(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が、2015年から行なわれている西アフリカでの実証実験をはじめ、今までに露地栽培で得た知見などを元に、協生農法の導入と拡張生態系の実装を建物の屋上で行なう。六本木ヒルズけやき坂コンプレックスの屋上庭園に、3パターンの異なる土壌を用意した特別なプランター5個を設置。プランターには、野菜・果樹を中心に周囲に100種に上る植物種を配置し、生育状態の変化を観察する。プランター以外にも六本木ヒルズの屋上庭園の土壌に直に植えた露地栽培型には200種ほどの有用植物を配置する。

 ソニーCSLは、同実験を通して都市における協生農法の可能性を調査するだけでなく、今後もさまざまな場所に多様な植生を展開し拡張生態系に包まれた都市の提案を行なうとともに、同実験で得た知見をもとに開発する「協生理論学習キット」やワークショップなど、協生農法に関する学習のプラットフォーム化を目指す。


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