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東京23区オフィスニーズ、積極的な移転トレンドが継続

 森ビル(株)は17日、「2019年 東京23区オフィスニーズに関する調査」結果を発表した。東京23区に本社が立地する企業で資本金上位の1万249社(同社テナントを除く)を対象に実施。調査期間は10月1~31日で有効回答社数は1,827社。

 新規賃借予定のある企業は27%(前年調査比増減なし)と、横ばいながらここ数年の増加傾向は維持。うち65%が面積拡大、約半数が1~2年に新規賃借を予定している。

 新規賃借する理由は、「業容・人員拡大」(44%)が前年比8ポイント増と大きく伸び、7年連続でトップとなった。その一方で、「設備グレード」「耐震性」「セキュリティ」ではポイントが減少。性能の高いビルが相対的に増加していることがその要因と考えられる。

 新規賃借する場合の希望エリアについては、「日本橋」(18%)、「丸の内」(15%)、「大手町」(15%)、「虎ノ門」(13%)など、今後オフィスの供給が集中するエリアが、昨年と同様に上位にランクイン。一方で、供給が追い付いていない現状から「神田・御茶の水」(14%)が前年比5ポイント増となるなど、周辺エリアの人気が高まりつつある。

 1坪当たりの賃料は「1万5,000円~2万円」(25%)、「2万~2万5,000円」(18%)で4割強を占めた。新規賃借する場合に妥当だと考える月額賃料については、坪2万5,000円以上の割合が前年比5ポイント増の計37%となり増加傾向。賃料相場が上昇基調にあり、オフィス拡張や移転における賃料増加を受容する様子がうかがえる。過去1年間で賃料改定があった企業は24%、直近の賃料改定で賃料が増額となった企業の割合は、調査開始以来最大となる93%となった。

 オフィス環境づくりの課題については、「社内のコミュニケーションやコラボレーションの強化」(41%)がトップとなり、「人材能力開発の強化」「多様な人材への配慮」が昨年より大きくポイントを伸ばした。また、今年より、働き方に関する取り組みについても調査。約6割の企業が「フレックス制度」「在宅勤務」など新しい取り組みを前向きに捉えており、約7割の企業が副業・兼業を容認する姿勢をみせた。こうしたことから人員確保、事業拡大を見込んだ多様な働き方に応じた勤務制度やワークスペースの変化は今度も加速していくとみられる。


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