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社整審、 住生活基本計画見直しへ中間とりまとめ

 国土交通省は31日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:中井検裕氏(東京工業大学環境・社会理工学院長))の53回目となる会合をウェブ形式で開催。住生活基本計画見直しへ向けた中間とりまとめ案を発表した。

 中間とりまとめ案は、今後の住宅政策の課題を「居住者」「ストック」「まちづくり」「産業・新技術」の4つの視点と12の項目に整理。項目ごとに検討の方向性と具体的な施策のイメージ、新たな指標のイメージを示した。

 居住者の視点では、職住近接・融合や職育近接など子育てしやすい居住環境の実現に向けた子育て支援施設やコワーキングスペースを設置した公的賃貸住宅の整備、セーフティネット住宅のさらなる普及など住宅確保要配慮者が安心して暮らせる居住環境の整備、ライフステージに応じた住み替えが可能となる環境整備など多様な住民や世代が安心して暮らせる地域共生社会づくりなどが盛り込まれた。
 ストックの視点では、将来世代に継承できる良質な住宅ストックの形成、良質な住宅ストックが市場で評価され循環するシステムの構築、既存住宅のリフォーム・リノベーションや建て替えの推進、空き家の状況に応じた適切な管理・再生・活用・除却の一体的推進を挙げ、買取再販やリースバック・リバースモーゲージの活用による質の高い住宅の流通促進、民間賃貸住宅の計画的な管理・修繕の実施の促進、官民が連携した空き家の発生の効果的予防、立地面でも優れた「使える空き家」の多様な利用といった施策の方向性を示した。
 まちづくりの視点では、災害に強い住まいの実現、災害危険エリアから安全なエリアへの住宅立地の誘導などによる災害に強い居住空間の実現、持続可能でにぎわい・潤いのある住宅地の形成などが盛り込まれた。

 また、産業・新技術の視点では、検討の方向性として、柔軟な働き方や新技術の活用による新しい住まい方の実現、アフターコロナにおける多様な住まい方に対応した都市部郊外・地方移住や二地域居住・多拠点居住ニーズへの対応などを挙げ、具体的な施策として、住戸内でのテレワーク用のワークスペースの確保など、在宅勤務環境の整備に資するリフォーム、コワーキングスペース等を併設する公的賃貸住宅の整備、空き家を活用した住宅地へのコワーキングスペース等の設置、空き家を利活用する二地域居住やサブスクリプション型居住サービス等の活性化などを盛り込んでいる。

 同省は、今回の中間とりまとめをもとに、「新しい住生活基本計画」(全国計画)策定に向け、テレワークや在宅勤務の拡大など、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とした働き方やライフスタイルの変化も踏まえながら議論を進めていく。11月頃開催予定の次回会合で「新しい住生活基本計画」(全国計画)案や成果指標、観測・実測指標について議論。パブリックコメント等を経て、2021年3月の閣議決定を目指す。


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