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地場景況感、2期連続でDI改善も低水準推移

 不動産情報サービスのアットホーム(株)は17日、「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2020年10~12月期)の結果を発表した。

 北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアにおいて、前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出。「50」を前年並みとする。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層を対象にインターネットで調査した。調査期間は20年12月12~19日。有効回答数は1,994店。

 当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏で36.1(前期比1.2ポイント上昇)、近畿圏34.5(同0.5ポイント上昇)と、共に2期連続で上昇した。前々期(4~6月期)がコロナ禍の影響で調査開始以来の過去最低値だったことから、徐々に回復している様子がうかがえる。

 全国14エリアのうち、DIが改善したのは9エリア。埼玉県と神奈川県が40台に回復したが、それ以外はすべてのエリアで40を下回っており、全般的には低水準にとどまった。

 売買仲介の業況DIは、首都圏で41.4(同1.6ポイント上昇)、近畿圏で36.7(同3.5ポイント上昇)と、賃貸仲介と同様に2期連続の上昇。首都圏について前年同期を比べても改善しており、回復基調が読み取れる。

 全国14エリア中、宮城県と千葉県を除く12エリアでDIが上昇した。埼玉県で49.1、福岡県で47.3と、前年並みを示すDI50に迫るエリアも散見される一方で、東京23区や京都府、大阪府、兵庫県などでは30台にとどまっており、改善傾向がやや弱い。

 21年1~3月期の見通しDIは、賃貸仲介では首都圏が32.1、近畿圏が34.8と共に低調。エリア別でも、12エリアが低下すると予想している。売買仲介では、首都圏が38.3、近畿圏が35.6と、共に当期実績よりも低下。エリア別でも11エリアが今期実績よりも低下するなど、全国的に慎重姿勢がうかがえる結果となった。

 不動産店からは、「コロナでテレワークとなり、家賃を下げて都心から移る人が増えた」(賃貸:埼玉県坂戸市)といった、都心部から郊外への人の動きの活発化がうかがえるコメントが目立つ。一方、「学生が減る可能性が高い」(賃貸:大阪市)、「来店客が減少した」(売買:東京都千代田区)など、都市部の不動産店からは市場の停滞を懸念する声も多かった。


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