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「東京一極集中の是正」について大学生と意見交換

 国土交通省は11日、国土の長期展望の主要なテーマの1つである「東京一極集中の是正」について、大学生とウェブ上で意見交換した。

 同省では、「国土の長期展望専門委員会」を設置し、2050年までの今後の国土づくりの方向性について、昨今の国土を取り巻く状況変化を踏まえた検討を行なっている。その一環として、東京大学、東洋大学、長崎大学の学生と、国土政策局の若手担当者との間で、意見交換を行なったもの。

 同省は、東京一極集中の要因として、「20歳代前後の層が修学・就職等のために」また「魅力・利便性・自由度の高さ等を求めて」東京へ流入している点、さらに一度東京に来ると、地方に移住しにくい環境などを指摘した。また、一極集中緩和の可能性のある要素として、テレワークの進展による「職場と仕事の分離」、40歳代までの若い世代による近年の地方移住への関心の高まりを挙げ、コロナ禍による変化も後押ししているとした。同省の分析結果では、東京都の中間層の世帯が他地域に比べ経済的に豊かであるとは言えないことが判明しており、「豊かさ=賃金の高さ」からの意識転換も要素の一つであると訴えた。

 これに対して、3大学の学生たちが「是正の今後の方向性」をテーマにプレゼンテーション。東京大学(工学部都市工学科3年生)は、オンラインでの「新たな形の交流」という観点から、「東京」が持つ優位性と「オンライン」が持つ可能性について考察。オンラインという手段が世の中に広まったことにより、一極集中の流れに変化が起きる可能性を示唆した。一方で、リアル空間における偶然性はより一層重視されることになり、そうした偶然性をオンライン空間に持たせることができるか、といった点を今後の論点として挙げた。

 東洋大学(国際観光学部国際観光学科3年生)は、「コロナによる観光の変化」という観点から考察。観光業は、コロナ禍で大打撃を受けた一方、新しい観光スタイルとして地元を旅するマイクロツーリズムやワーケーションが注目されており、地域の受け入れ姿勢を強化するなどし、観光客から地域に貢献する関係人口を増加させることが地域活性化(東京一極集中の是正)につながるなどとした。

 長崎大学(環境科学部環境科学科3年生)は、新型コロナウイルスによる地方大学生の就職希望地の変化から見る人の流れについて発表。コロナ禍は、東京から地方圏へ流れ、地方圏から東京への流れを変えるのかという視点で、地方圏在住の大学生への卒業後の移住に対する意識の変化をアンケート調査し、意識の変化と都市的要素、自然的要素の関わりを明らかにしていくとした。


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