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首都圏企業の転入超過が過去10年で最少に

 (株)帝国データバンクは27日、「首都圏・本社移転動向調査」結果を発表した。2020年に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)・地方をまたいだ本社所在地の移転が判明した企業(個人事業主、非営利法人等含む)について、保有する企業概要データベースのうち業種・規模が判明している企業を対象に調査を実施。

 首都圏に転入した企業は296社となり、3年ぶりに前年を下回った。一方、首都圏から転出した企業は288社で、2年ぶりに増加。東日本大震災が発生した11年以降で最多だった12年(287社)を上回り、過去10年間で最多を更新した。首都圏は10年連続で転入超過となったが、超過数は8社にとどまっており、15年(104社)のピーク時と比較して10分の1以下。転入超過社数としては、統計を開始した1990年以降で最も少ない結果となった。
 転入元は「大阪府」(56社)、「愛知県」(26社)、「静岡県」(20社)、「北海道」(19社)、「茨城県」(18社)の順。昨年3位(25社)だった福岡県は9社と、大幅に減少した。転出先は40道府県にのぼり、「大阪府」(36社)、「静岡県」(30社)、「茨城県」(29社)、「愛知県」(16社)、「福岡県」(14社)の順。

 業種別では、転入企業で最も多いのは「サービス業」。次いで「卸売業」(50社)、「製造業」(39社)、「小売業」(32社)で、不動産業は14社だった。転出企業のトップも「サービス業」(96社)で、不動産業は11社。
 企業規模については、転入企業で年商「1億円未満」が117社となり、90年以降で初の最多に。これまで最も多かった「1億~10億円未満」(113社)は前年から16社減少した。転出企業のトップは「1億円未満」の116社だった。

 今後は、新型コロナ対策や首都圏直下型地震などのリスクヘッジから、首都圏以外への本社機能分散やバックアップ拠点の確保といった動きが本格化すると予測。21年は、首都圏からより離れた地域への本社移転の動きが加速することが見込まれ、首都圏は11年ぶりとなる企業の転出超過に転じる可能性があるとしている。


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