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国土の長期展望、最終とりまとめへ

 国土交通省は20日、国土審議会計画推進部会国土の長期展望専門委員会(委員長:増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授)の15回目の会合を開き、最終とりまとめ案を発表した。

 同検討会では、2019年10月の設立以来、人口減少の進行、急速な高齢化のほか、途中発生したコロナ禍等を踏まえた国土の長期展望を検討してきた。今回で最後の開催となる。

 とりまとめ案ではSDGsで掲げられた持続可能な社会の実現に向け、地球環境問題等のリアル世界の課題にも適切に対応しつつ、リアルの世界からデジタルの世界への社会構造の大転換を踏まえ、「デジタルを前提とした国土の再構築」をテーマに設定。基本的方針として、「ローカル」「グローバル」「ネットワーク」の、3つの視点が重要であるとした。

 「ローカル」では、価値観が多様化し、テレワークの進展により「職場と仕事の分離」も可能となる中で、働き方・暮らし方・生き方を自由に選択でき、快適で安心して暮らし続けられる国土にしていくためにも、地域資源等を生かした個性豊かで利便性の高い持続可能な地域を多数創出していく必要があるとした。「グローバル」においては、地球環境問題にも対応しつつ成長産業を育成し、激化する国際競争の中で輸出を促進するなど、人口減少下であっても「稼ぐ力」を維持・向上させていく必要性を示した。

 「ネットワーク」については、人と情報をつなぐ情報通信ネットワークは不可欠であるとし、デジタル基盤の整備や利用者のITリテラシーの向上とあわせて、充実を図っていくべきとした。また、「ローカル」「ローカル間」「ローカルとグローバル」「グローバル」のいずれの局面においても、今後はデジタルによる代替可能性も念頭に置きつつ、それらをつなぐ交通ネットワークの維持や利便性の向上を図るべきとした。加えて、ネットワークによる“つながり”をより広く捉え、人と土地とのつながりである国土の適正管理、人と自然とのつながりである災害対応や地球環境問題、人と社会とのつながりである共生社会の実現にも積極的に取り組んでいく必要があるとしている。

 委員からは、内容については今回の案で概ね問題ないという意見がほとんどだったが、「記載した内容を確実に実行・実現していくことが重要」との指摘が多方面からあった。今後細かい修正点等を反映したものを増田委員長が確認した後、事務局が国土審議会計画推進部会へ報告。その後、最終とりまとめを発表する予定。
 委員会の場で、中原 淳国土政策局長は「コロナ禍で社会経済の大きな変化を踏まえて、最先端の議論をしていただいた。次の国土形成計画に今回のとりまとめの内容を反映すべく、7月初旬開催予定の国土審議会で審議にかけたい」と述べた。


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