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地域コミュニティの在り方等テーマに議論/国交省

 国土交通省は14日、4回目となる「『ひと』と『くらし』の未来研究会」を開いた。

 不動産業やコミュニティデザインに従事するメンバーが参加し、地域の新たな価値・可能性を創造することを目的に議論を進めている。会ごとのテーマに沿ったゲストスピーカーを招き、それぞれの取組内容を発表。その後、研究会メンバー(4回目の参加者は(株)まめくらし代表取締役・(株)nest代表取締役の青木 純氏、合同会社ミラマール代表社員の川人 ゆかり氏、プロジェクトデザイナーで(株)umari代表取締役の古田秘馬氏、(株)不動産中央情報センター代表取締役の濱村美和氏)を含めた参加者全員で議論し、テーマ実現に向けた課題や必要な取り組み等について意見交換を行なっている。

 今回は、シェアビレッジ(株)代表取締役の丑田俊輔氏、WILLER(株)代表取締役の村瀬茂高氏、(株)Local PR Plan代表取締役の安達鷹矢氏を招いた。「beyondコロナの新しいくらしとは ~これからの不動産業~」 をテーマに、共創型コミュニティの形成やシェアモビリティの運用などの取り組みについて発表した。

 丑田氏は、自身が手掛ける古民家を活用したシェアビレッジの取り組みを発表。古民家を活用したいユーザーたちで資金を出し維持管理を行なう取り組みで、全国から2,500人がメンバーになってさまざまな交流が生まれているとした。同氏は「公・私でもない“共”の概念のコミュニティが重要になる」と話した。また、コミュニティ持続のためには、各地で小さなコミュニティを形成し、それらをつなぐことが必要であるとし、昨年より専用のプラットフォーム運用も推進しているとした。

 安達氏は、自身も居住する兵庫県・福住地区のエリアマネジメントの取り組み等を発表。空き家に地域外からモノづくりの職人等を約50人呼び込み、事業計画の設定や商品の販売やPR、イベントの開催などをサポート。年間で300人の集客を実現している。同氏は「少しずつ地域の理解を得て時間をかけて実行していくことが重要」と話した。村瀬氏は、自宅2km圏の移動を円滑化するため地域住民同士が出資して運用するシェアモビリティの取り組みを発表。サブスク形式で、アプリで呼ぶと10分以内に専用車が迎えに来るサービス。「利便性向上というだけでなく、フットワークが軽くなることでさまざまな交流機会が生まれるとみている」(同氏)とした。

 これら発表事例を受けて、参加者からは「適正なコミュニティの規模感をデザインする能力が必要」「行政に頼らない、ユーザー同士がインフラを生み出すことでまちが豊かになる」「地域住民だけでなく地域外の人の関わりを持たせることが重要」「ネットも有効活用し、物理的制約にとらわれないコミュニティの在り方を検討すべき」などの意見が出た。

 次回は6月24日に開催。研究会メンバーによって、中間整理に向けた議論を行なう。これまでの発表を踏まえ、地域の新たな価値創造における課題点等を洗い出す。


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