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持続可能な社会形成へ政策要望/不動協

 (一社)不動産協会は19日、理事会を開催し、2022年度の政策要望を決定した。

 新型コロナウイルス感染症の拡大やDXの推進により構造的な変化が加速しているのに加え、国が2050年カーボンニュートラルを打ち出すなど、脱炭素の取り組みも強く求められている。そうした観点で持続可能な社会の形成に向けて環境政策、都市政策、住宅政策、税制改正等に関する要望をまとめた。

 環境政策では、カーボンニュートラルの実現に向け、貢献度をさらに高めていく。省エネ性能が高く、脱炭素につながる良質な新規ストックの供給に向けて、各種省エネ対策の基準・制度の合理化、支援制度の拡充を求めていく。また、省エネ性能の劣る既存ストック対策として、積極的な省エネ改修、良質ストックへの建て替え・再開発誘導政策を求めていく。具体的には、ZEH-MやZEBの採択基準合理化や、再エネ需給の政策的調整による市場安定化・コスト低減、木材利用の拡大などを盛り込んだ。

 都市政策については、官民の都市アセットを利活用したコミュニティ支援など、アフターコロナを見据えた都市再生を加速させる。具体的には、面的な都市の脱炭素に向けた取り組みの推進や、国際競争力向上に資する都市の在り方の検討、既存ストックの利活用についての方策の検討、DXやエリアマネジメントの推進などを求めていく。

 住宅政策では、良質な住宅ストックの好循環を実現するよう、広く・きめ細やかな住宅政策として、建替決議の同意要件の緩和による既存ストック更新の促進や、長期優良住宅の認定基準緩和による普及促進、共用部ワークスペース設置への支援等を盛り込んだ。

 税制改正では、ポストコロナに向けた経済好循環の加速・拡大のための重点要望として、(1)21年度の適用期限を迎える住宅ローン減税の延長・拡充等、(2)土地に係る固定資産税の負担調整措置の拡充等、(3)国家戦略特区に係る特例の延長・拡充、(4)不動産市場の活性化等に向けた必要な対応について要望する。
 また、日本の未来を拓く都市再生の推進税制として、(1)国家戦略特区に係る特例の延長・拡充、(2)カーボンニュートラルやDXの技術進展も踏まえたまちづくりに関する支援制度の創設、(3)ウォーカブル推進税制の延長等、(4)都市のスポンジ化対策のための特例の延長、(5)都市の防災性向上や物流効率化の実現に向けた支援措置の創設などを求めていく。

 理事会後の記者懇談会で、同協会理事長の菰田正信氏は、「日本では約9割の住宅が現行の省エネ基準を満たしていない。こうした建物をどのように改修、あるいは建て替えていくかが、カーボンニュートラル実現に向けた大きなポイントだ。当協会としても政府への提言等を通じ持続可能な社会構築に貢献していく」等と語った。

 併せて、渡邊倉庫(株)(東京都港区、代表取締役:渡邉庄二氏)の入会を承認。同協会の会員数は157社となった。


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