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国交省、FTK活用促進へハンドブック作成

 国土交通省は20日、不動産特定共同事業(FTK)の多様な活用手法検討会(座長:田村幸太郎・牛島綜合法律事務所弁護士)の中間とりまとめを策定。FTKによる地域の不動産の再生・活用を通じた地域の課題解決、地方創生を促進するためのハンドブックを作成した。

 同省は、新型コロナ危機を契機とした新たなまちづくりの方向性、郊外や地方都市での「地元生活圏」の形成促進などの新しい課題といった社会的背景を踏まえ、FTKの多様な活用可能性に着目。地域の課題解決へFTKの活用をさらに促すための施策を検討するため、2020年6月に同検討会を設置し、「まちづくり分野」と「ヘルスケア分野」それぞれで、FTKの有用性を6回にわたり検討してきた。令和2年度のFTK案件数は295件と、平成28年度の56件の約5倍と増加傾向にあるが、同省では「活用が進んでいるとは言いがたい」と指摘している。

 中間とりまとめでは、まちづくり分野におけるFTKの有用性について「市民ファンドやクラウドファンディング等を活用し、投資家が利用者となるような、地元完結の枠組みを作りやすい」「金銭リターンのほか、施設利用権の付与など、投資家が事業に対し共感する仕組みの構築も可能」「比較的機動性の高いスキームであり、小規模な不動産でも対象となり得ることから、地域に密接したまちづくりの課題への対処に有効」などとした。
 ヘルスケア分野については「個人地主以外が保有している好立地不動産の機動的な取得や、建物の更新投資が可能」「実物不動産と資金とを目に見える形で紐付けることや地域で自前の資金調達を行なうことができるため、ヘルスケア施設の整備など地域に密接した課題への対処において有効」「クラウドファンディングは、個人投資家の投資機会拡大に資することはもとより、地域住民が投資することで、ヘルスケア施設の充実といった地域の課題に対し主体的に取り組むことが可能」などとした。

 さらなるFTK好事例の普及に向けては、「金融機関の通常の融資の対象となりづらい場合等、不動産開発・改修に係る資金調達が困難である場合に対応できる」「住民や地域に関心のある個人からの投資を募ることで、まちづくりの自分事化や関係人口の増加が期待できる」「地域の公的不動産活用事業に対し円滑な資金供給を実現することで行政費用が抑制できる」といったFTK活用のメリットや、「地元企業や住民等から小口で資金を募ることができ、地域ファイナンスが実現可能」「地元企業や住民等が、経済的なリターンのみならず、事業内容への共感を基に投資を行なうなど、従来の金融機関からの融資中心の枠組みとは異なる多様な資金調達を実現できる」といった地方創生におけるFTK活用の意義を整理。関係者がFTKの活用イメージを明確に持てるよう、FTKの好事例を紹介する事例集(FTK利活用促進ハンドブック)を作成。セミナー等を通じ、FTKの周知を図るとしている。

 また、FTK事業者と地方公共団体のマッチング促進へ関係者が連携体制を構築するため必要な仕組みの検討や、FTKのさらなる活用に向けた制度改善等についても、引き続き検討していくとした。


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