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DX協、不動産情報整備などで識者が意見交換

 (一社)DX不動産推進協会は2日、会員や一般を対象とした勉強会をオンライン形式で開催。67社123人が視聴した。

 「不動産業界を取り巻く規制改革の変遷と展望」をメインテーマに、東京大学特任教授の清水千弘氏、衆議院議員・経済産業大臣政務官兼内閣府大臣政務官の宗清皇一氏、元日本銀行副総裁で東京大学名誉教授の西村清彦氏、国土交通省不動産・建設経済局大臣官房審議官の大澤一夫氏が意見交換した。

 冒頭、清水氏が、西村氏らと共に2002年に行なった提言「透明で中立的な不動産流通市場の構築に向けて」の内容を振り返り、そこで取り上げた不動産関連情報整備の必要性や宅地建物取引事業者と消費者との責任範囲の明確化といった問題提起が現在もまだ解決されずに続いていると指摘。それを受け、各氏が政官学の立場で現状認識や今後の課題について意見交換した。

 西村氏は、不動産情報の整備など、現在のDXに通じる課題がすでに00年前後の政府の規制改革委員会でも検討課題に上がっていたとして「20年前の問題意識と現在とで大きな差異がないのが問題ではないか」と指摘した。大澤氏は不動産情報整備の関連でレインズに触れ、「物件の定性的な情報だけでなく、周辺情報などと連携できるようにする考え方もある。不動産IDについては、情報化の流れの中で必須になるだろう。急ぎ整備していきたい」と語った。
 宗清氏は「不動産IDは、刻々と変わる周辺情報をいかに紐づけてデータベース化するかが課題。国・自治体・民間がしっかりと仕組みを整備するのと同時に、消費者も含めたそれぞれの責任範囲をしっかりと整備・意識づけしなければならない」と述べ、リアルタイム性がカギになると指摘した。

 また、今後の不動産業関連のDXと規制改革への期待について、西村氏は「これまでの日本社会はコストを下げることに意識があった。しかし今後は『付加価値』を向上させることを重視すべきだ。日本の不動産の価値を明確にするプラットフォームをつくることが期待される」などと語った。


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