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オフィスの期待利回り、多くの地域で低下傾向

 (一財)日本不動産研究所は25日、45回目の「不動産投資家調査」(2021年10月現在)の調査結果を公表した。アセットマネージャーやアレンジャー、ディベロッパーなど188社を調査対象とし、148社より回答を得た。

 「Aクラスビル(オフィスビル)」の期待利回りは、東京都では「虎ノ門」(3.7%)が前回調査から横ばい、その他は「丸の内、大手町」(3.4%)、「日本橋」(3.6%)、「赤坂」(3.7%)、「六本木」(3.7%)、「港南」(3.8%)、「西新宿」(3.9%)、「渋谷」(3.7%)、「池袋」(4.1%)と、いずれも0.1ポイント低下した。主要政令都市においても、「札幌」「大阪・御堂筋」「福岡」は前回調査から横ばい、その他は0.1~0.2ポイント低下している。

 「賃貸住宅一棟(ワンルームタイプ)」の期待利回りは、19年10月調査以来4.2%が続いていた「東京・城南」で前回比0.2ポイント低下し、その他でも、0.1~0.3ポイントの低下が多く見られた。

 「物流施設・倉庫(マルチテナント型)」は、「東京(江東地区)」をはじめ全調査地区で期待利回りが前回比0.1~0.2ポイント低下した。

 コロナ禍で大きく影響を受けた「宿泊特化型ホテル」は、「東京」「札幌」「京都」「大阪」「那覇」では前回比横ばいだったが、「仙台」「名古屋」「福岡」は0.1ポイント低下し市場の変化が見られた。

 今後1年間の不動産投資スタンスについては、「新規投資を積極的に行なう」との回答が95%(前回比1ポイント上昇)、「当面、新規投資を控える」は5%(同2ポイント低下)となった。

 併せて、特別アンケートとして、コロナ禍と不動産市場に関するアンケート結果を公表した。回答数は137社。

 コロナ発生前(19年下期)と比較して、「変わらない」とする回答が全体の40%を占め、最も高かった。一方、「現在の方が、活況だ」(27.4%)とする回答や、「現在の方が、低調だ」(26.7%)とする回答も一定数を占めた。

 また、不動産投資市場の今後の成長ファクターについては、「市場参加者の多様化(海外勢や公的年金・SWF(政府系ファンド)等のさらなる参入」(180ポイント)が最も多く、次いで「投資アセットの多様化」(118ポイント)、「DX」(91ポイント)と続いた。

 一方、市場のリスク要因(新型コロナ感染症除く)については、「賃料の伸び悩み」(204ポイント)が最多となった。


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