不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

IT重説やAI価格査定、小規模事業者も導入を希望

 (公社)全日本不動産協会の専属研究機関である全日みらい研究所は6日、不動産における新技術のあり方検討に係る現状調査分析レポートを公表した。

 東京大学連携研究機構「不動産イノベーション研究センター」との連携協力に関する協定に基づき、宅建事業者の業務におけるITシステム等の導入状況や現場のニーズを把握することを目的に実施した。21年9月1~30日に(公社)全日本不動産協会会員を対象にインターネットを通じて行ない、回答数は532。回答者の属性は、業態が売買仲介(回答数452※複数回答)、賃貸仲介(同281)、従業員数は1人(同150)、2人(同120)、3人(同83)、4人(同50)、10~25人未満(同34)、売上高は1~1,000万円未満(同91)、1,000万~2,000万円未満(同83)。

 顧客情報管理、経理処理等における現状のITシステムの導入状況は、「エクセル等の表計算ソフト」(同316)で、「WEB会議システム」(同141)、「不動産情報管理システム」(同135)となった。「WEB会議システム」については無料または安価で利用できるZoomが多く利用されている。なお、全体の約3割が「導入していない」と回答している。

 今後の導入予定や導入希望については、「電子契約システム」(同125)、「IT重説のためのシステム」(同124)、「不動産情報管理システム」(同111)への関心が高く、次に「AI等による価格査定システム」(同64)が続いた。「AI等による価格査定システム」については従業員数5人以下の事業者が8割超で、「不動産情報管理システム」についても5人以下が4分の3を占めており、IT重説も含め比較的小規模な事業者も導入を希望している。一方、「電子契約システム」については従業員数の多い事業者の傾向がみられた。なお、「特に導入予定・希望なし」の回答数については約半数を占めており、システムの導入に慎重な事業者が一定数存在することも判明している。

 また、従事者一人当たりの売上高を、システム導入状況別に分析したところ、システム「導入済み」の回答者は「導入してない」回答者より一人当たりの売上が平均630万円以上高いことがわかった。

 こうした結果を受け、同研究所は、地域経済活性化のためにも中小事業者がITシステムを導入するうえでの障壁をいかにして取り払っていくかが一つの課題と考えられるとまとめている。


最新刊のお知らせ

2024年5月号

住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには? ご購読はこちら