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南栗橋の産官学連携の大規模開発がまちびらき

関係者によるテープカット(中央が久喜市長の梅田修一氏)
トヨタホームが建設・販売する建売住宅はすべてZEH仕様。停電時、電気自動車等から電気を宅内に給電できるシステムを標準設置(写真のV2Hシステムはオプション)

 東武鉄道(株)、トヨタホーム(株)、イオンリテール(株)が埼玉県久喜市、早稲田大学小野田 弘士研究室とともに開発を進めてきた産官学連携の大規模開発「BRIDGE LIFE Platform南栗橋」(埼玉県久喜市)が26日、まちびらきイベントを実施した。

 同プロジェクトは、東武鉄道日光線「南栗橋」駅徒歩5分に立地する、総面積約16.7ha、全4街区の次世代まちづくり。開発地は、東武鉄道等の事業用地。東武鉄道とトヨタホームは、約3.2haの戸建街区で172戸の戸建住宅を供給する。東武鉄道は、生活利便街区(約2.5ha)の開発も手掛け、保育園とシニア施設が先行オープンしている。イオンリテールは、商業街区(約2.4ha)にショッピングセンター「イオンスタイル南栗橋」を28日にオープン。久喜市は、公園・スポーツ広場を整備する。

 まち全体を無電柱化し、戸建街区は車と歩行者の動線を分け、街区と既成住宅地との間も歩行者通路に変更するなどして、災害に強く安全に暮らせるまちを目指しているのが特長。まち全体に5GWi-Fiを実装し、入居者に開放する。早稲田大学の小野田研究室は、ICTプラットフォームを活用し「イオンスタイル」から戸建街区への自動宅配や無人ごみ収集などに、次世代モビリティシステムを導入する社会実験を実施。環境配慮や社会課題解決につなげる。

 「スマートヴィラ」と名付けられた戸建街区は、自動車用道路と遊歩道とを交互に張り巡らせ、各住戸を2面開放としているのが特長。遊歩道やクルドサック、ポケットパークも設け、入居者同士や来街者とのコミュニティを醸成する。
 敷地は150平方メートル以上、住戸は鉄骨造平屋建て・2階建て、建築面積100平方メートル以上(2階建て)。全戸がZEH仕様で、HEMS、ガスと電気のハイブリッド給湯器、太陽光発電、電子錠、全館空調などを標準装備したスマートハウス。非常時に電気自動車等から宅内に給電できるシステムも備え、V2Hシステムもオプションで用意する。トヨタホームの注文住宅のノウハウを生かして、ライフスタイルに合わせ室内テイストやオプション等を複数のプランから選べる販売手法も導入。管理組合も組成し、その拠点となるクラブハウスも設ける。

 7月から1期16戸の販売を開始する予定。販売価格は2階建てが4,000万円台中盤、平屋が3,000万円台を予定している。街区全体の完成は2028年度の予定。クラブハウスは23年度中に完成させ、イベント等の実施でコミュニティ醸成を図る。

 同日会見した、久喜市長の梅田修一氏は「これまで経験したことのない少子高齢社会に対応するため、コンパクト、スマート、レジリエンスを兼ね備えたまちづくりを行なっていく。本事業をモデルとして、サスティナブルなまちづくりを、市内全体へと広げていきたい」などと抱負を述べた。
 東武鉄道取締役常務執行役員生活サービス創造本部長の横田芳美氏は「当社は1991年から南栗橋のまちづくりに関わってきた。都市と自然の結節点という立地をいかし、コロナ禍により大きく変化した生活に対応した次世代の街づくりを進めていく」などと語った。
 また、トヨタホーム代表取締役社長執行役員の後藤裕司氏は「わが社はいま、まちづくり事業に力を入れている。ここでも、良いまち並みを作っていく。全戸をZEHとするほか、電線を地中化し大空が楽しめるようにした。災害対策やコミュニティにも力を入れていく」などと語った。

コミュニティを醸成するため、街区内にクルドサックやポケットパークを設置。自動車用道路と遊歩道とを交互に配置することで歩車分離を図っている
戸建街区と隣接するショッピングセンターから、自動運転による自動宅配サービスを行なう。ICTプラットフォームを活用した、早稲田大学の小野田研究室協力による社会実験の一つ


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