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国土形成計画の中間とりまとめ案を検討

 国土交通省は8日、新たな国土形成計画の策定に向け、国土審議会計画部会(部会長:増田寬也日本郵政(株)取締役兼代表執行役社長)の11回目の会合を開催。中間とりまとめ案を検討した。

 同案では、課題として人口減少・少子高齢化、巨大な災害リスクや気候変動への対応、東京一極集中の是正、地方の暮らしに必要不可欠な諸機能の確保、国際競争力の向上、エネルギーや食料の安定供給を挙げた。その課題解決の基本的な方策として、「民の力を最大限発揮する官民協創」「デジタルの発想」「先駆的な事業者の利便性を最優先する視点」「分野の垣根を越えること、横串の発想」を示した。

 その上で重点的に取り組む分野とその方向を提示。官民の多様な主体が連携して、デジタルを活用し、暮らし続けることができる地方を形成するため、地域生活圏の実現、地域における多様な人材の確保に向けた関係人口の拡大・進化、女性の活躍等に向けた取り組みを推進する。
 巨大災害の甚大な被害が想定される地域に集積・立地するCO2多排出産業については、民の力を最大限発揮し官が支える考え方で、産業の構造転換や再配置等を実施。災害リスクの軽減とカーボンニュートラルの実現の両立を図り、持続可能な経済を実現していく。
 また、三大都市圏が海外の架け橋となると共に、都市や地域の問題を解決することで国際競争力を高める。大都市におけるイノベーション創出やスタートアップの輩出、リニア中央新幹線開業による巨大経済圏の形成、都市による地方経済発展のけん引等を示した。

 委員からは「概ね賛成」という意見が大半だったが、「国土形成計画がソフト重視の内容に変わっていることを前提として示すべき」「実現性を高めるためにも地域生活圏の詳細を明記すべき」「三大都市や地方の役割を整理した上で、全体イメージがほしい」「多極集中的な発想が重要」「デジタルな“発想”では弱い、活用するという書きぶりが必要」「若い世代の視点がほしい」などの指摘があった。また、7日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」「経済財政運営と改革の基本方針2022」等を踏まえた加筆修正も必要であるとした。

 次回は6月30日に開催する。今回の意見を踏まえた中間とりまとめの最終案を発表し、議論を行なう。その後、国土審議会へ報告する予定。

 なお、中間とりまとめ後は、これまで同部会で検討できていない「エネルギーや食料の安定供給」のほか、さらなる検討が必要な「防災・減災」「国土強靭化」「カーボンニュートラル」「交通ネットワーク」などについて議論を進める方針。最終とりまとめに反映していく。


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