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米国不動産市場をNARエコノミストが解説

基調講演としてビデオメッセージを寄せたローレン・ユン氏は「円安は海外マネーを呼び込むチャンス」などと話した

 (一社)日米不動産協力機構(JARECO)は8日、日本大学経済学部7号館(東京都千代田区)で「JARECOカンファレンス」を開催。2022年度の総会と、シンポジウムを行なった。

 総会では、21年度の事業報告・決算および22年度の事業計画・収支予算等を報告。22年度は日米の不動産従業者を対象としたホームステイプログラムを開始する。まず7月より日本の不動産従事者が、米シアトルの不動産従事者の自宅にホームステイ。23年には米国から日本へのホームステイも予定している。また、有識者らを招いて意見交換する勉強会についても、有料で開催していたが、今後は参加無料としていく計画を明らかにした。そうした団体の催事を会員が無償で参加できるよう、今後同機構ではスポンサーを募っていくという。

 シンポジウムの冒頭、挨拶した同機構理事長で日本大学経済学部教授の中川雅之氏は「対面形式のカンファレンスは3年ぶり。当機構の今年の調査研究テーマはESG投資。今後も常に不動産に関する新しい潮流をとらえて調査テーマに取り上げていきたい」などと挨拶した。

 その後、全米リアルター協会(NAR)チーフエコノミストのローレン・ユン氏が「米国不動産の概況」と題して基調講演。ユン氏は米国からビデオメッセージで米国の不動産市場の現在をさまざまなデータから解説。「コロナ禍による金利引き下げが既存住宅の販売好調につながった。また、市場では買い需要が強く価格高騰にもつながっている。住宅ローン金利の上昇も顕著であり、価格上昇と金利上昇を合わせると、月々の支払額が約45%上昇するという試算があるので、市場が減速する懸念もある」と話した。また同氏は急速な円安進行にも触れ、「海外に日本の不動産を販売するチャンス。円安をメリットとして、投資マネーを呼び込める」などと語った。

 また、記念講演として、国土交通省不動産・建設経済局不動産市場整備課長の鈴木 あおい氏が「不動産分野におけるESGの投資促進に向けて」というテーマで、これまでの関連政策の経緯や今後の展望について語った。「ESG投資の促進が日本の重要施策でもある。国交省としても、環境整備を進めていきたい」(鈴木氏)。


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