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商業店舗出店時の重視項目「マーケット規模」が8割

 (株)ザイマックス不動産総合研究所は18日、商業店舗の出退店に関する実態調査結果を発表した。早稲田大学建築学科石田航星研究室と共同で、直近調査年度の売上高が30億円以上の事業者5,458社を対象に、郵送およびWebによる調査を6月1~30日の期間に実施。有効回答数は329件。

 店舗出店における不動産(土地・建物)の所有・賃借の方針について尋ねたところ、「建物賃借(借家)が原則」(43%)が最も多く、「特に決まっていない」(30%)が続いた。事業者は、所有者・貸し主の方針に応じ、物件ごとに柔軟に対応していることがうかがえる。

 新規出店時に「重視する」項目については、「マーケット規模(商圏、人口、世帯数など)」が81%でトップに。「商圏の質(年齢、家族構成、所得水準、地域特性など)」(47%)は17年調査時と比べ11ポイント、「アクセス(最寄り駅の乗降客人数、公共交通機関など)」(41%)は6ポイント上昇した。コロナ禍の影響を受け、「在宅勤務」「巣ごもり消費」などによる消費者行動の変化を事業者がより細かく捉えるようになっていると分析している。

 新規出店時の困りごとについて発生頻度・程度を尋ねたところ、「よくある」「たまにある」の合計割合が高い項目は「適正面積の物件が少ない」(78%)、「契約条件が厳しい物件が多い」(77%)、「従業員が確保できない」(74%)だった。

 退店について、コロナ禍以降の賃借店舗の状況で「契約期間満了前に中途解約し、退店した」と回答した事業者は全体の31%。その理由は、「コロナ禍の影響により業績が悪化したため」が80%と突出して高かった。

 今後の出退店戦略に影響を与えるものについては、「少子高齢化、人口減少、人口の都心部集中」(79%)、「人手不足による人件費、物流費などのコスト増」(74%)が上位に。「原油価格、食料品値上げなどによる物価上昇」(53%)が続き、「新型コロナウイルス感染症の影響の長期化」(48%)を上回っている。


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