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SDGsテーマにCRE戦略を考える

セミナーの模様。リアル・オンラインで約770人が参加するなど盛況だった

 中央日土地ソリューションズ(株)は16日、イイノホール&カンファレンスセンター イイノホール(東京都千代田区)で、18回目の「CRE戦略セミナー2022」を開催。3年ぶりの会場セミナーで、オンラインと併用で行なった。

 冒頭、6月に就任した中央日本土地建物グループ(株)代表取締役社長の三宅 潔氏が挨拶。「コロナの感染対策が緩和される一方、ロシア・ウクライナ問題や近年稀にみる円安水準など、経済状況はかつてないほど変化している。当セミナーが、今後の企業戦略を見直す上での一助になれば嬉しい」と述べた。

 基調講演では、一橋大学ソーシャル・データサイエンス教育研究推進センター教授の清水千弘氏が、「サステナブルな社会を実現する企業不動産戦略~企業は不動産とどう向き合うべきか?~」をテーマに講演。同氏は、近年の環境問題への意識の高まりと、不動産・金融業界における環境配慮型物件への注目といったトレンドに触れつつ、今後のCRE戦略の在り方について示唆した。「日本では、川の近くや急斜面など、水害や土砂災害リスクの高いエリアでも宅地を造成してきた。高齢化が進む中で、そうしたエリアで空き家が増えつつある一方、都市部の災害リスクの少ないエリアに人口が集中し、住宅・オフィスの価格や賃料が高騰している。これは世界的な傾向でもある。今後、人口動態は都心部に集約される形になるのか。マクロなトレンドの中で、企業不動産の最適な利活用策を模索していくことが重要だ」(同氏)。

 また、中央日土地ソリューションズアドバイザリー部エグゼクティブ・アドバイザーの石川 聡氏が、「社会と共創するCRE戦略~不動産を通じたSDGsの取り組み~」をテーマに登壇した。同氏は「CRE戦略の効用は、企業価値、サービス品質の向上、資金調達率アップなど、SDGsの取り組みと共通する点が多い」とした上で、CRE戦略とSDGsの施策を両立した事例を紹介。「都心部で介護事業所を新設した案件では、経済性や工期の優位性から木造建築を提案。各種助成制度の認定を受け建築コストを大幅に削減したことで、エンドユーザーは好立地にも関わらず一般的な特養の最低基本料金で入所することができた。CRE戦略における経済合理性を担保しながら、社会課題の解決を行なうことが可能であることを示している」(同氏)。
 最後に、企業がCRE戦略を通じてSDGsに取り組むメリットとして、「従来からの戦略で取り組むことができること。また、不動産は目に見えるため外部へのアピールにもつながる」と締め括った。

 そのほか、同社鑑定部担当部長の福井勝也氏が、不動産鑑定評価とSDGsの取り組みとの関わり等について解説した。


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