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管理業法施行、管理士国家資格化1周年の記念式典

「業務管理者の要件を管理士資格取得者に一本化していきたい」と述べた新会長の塩見氏
笹川審議官は「賃貸管理業=信頼産業として一層の深化を図ることが期待される」と話した

 (一社)賃貸不動産経営管理士協議会は24日、霞山会館(東京都千代田区)にて、賃貸住宅管理業法施行・賃貸不動産経営管理士国家資格化の1周年を記念し、式典を開催した。

 冒頭、同日開催された理事会で会長に就任した塩見紀昭氏((公財)日本賃貸住宅管理協会会長)が挨拶。「賃貸不動産経営管理士資格の国家資格化はゴールではなく、むしろスタートと考える。オーナーや入居者に、安心で安全、快適な賃貸住宅の経営の提案、サポートができるような管理士を育成していく」と抱負を述べ、「資格取得者は近々10万人となる予定。これを一つの区切りとし、業務管理者の要件を管理士資格取得者に一本化していきたい」と述べた。

 来賓を代表し、国土交通省不動産・建設経済局大臣官房審議官の笹川 敬氏が挨拶。賃貸管理業に期待することとして、「入居者からの相談や苦情に親身に対応し、オーナーから託された物件の経営を的確に支援するなど、信頼産業として一層の深化を図っていただきたい」と言及。また、デジタル化への対応のほか、地域価値を向上させる役割などを挙げ、「地域の行政等と協力しながら空き家や古民家などを再生するなど、地域の価値を向上していく役割も期待されている」と話した。

 その後、同省同局参事官の峰村浩司氏が、「賃貸不動産経営管理士に求められる役割と賃貸住宅管理業の未来」をテーマに記念講演を実施。最初に、賃貸住宅管理業の登録件数は8,419件(10月1日時点)、業務管理者に必要な講習の修了者数は8万174名(10月17日時点)であることを公表した。
 また、計画修繕を実施しているオーナーが約2割にとどまっているという課題を挙げ、「計画修繕に関心の低いオーナーに対し、管理士はその重要性を理解してもらい、適切な修繕へと導く役割も担っている」と述べた。賃貸住宅管理業のこれからについては、“共創”がキーワードになると言及。「人口減少が進む中、単なる手数料収入を軸としたビジネス形態のみでは、持続的な発展は望めない。今後は行政や地域住民も巻き込んで、地域づくりやコミュニティの形成に取り組み、新たな地域価値を共創していくことが必要となる」と述べた。

 なお、11月20日に行なわれる試験の申込者数は、国家資格化された初年度の昨年とほぼ同等の3万5,027名。

記念式典の様子


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