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日本の賃貸住宅ニーズ、他国と比較して高い傾向

 シービーアールイー(株)は10日、特別レポート「Japan Live-Work-Shop Report 2022」を発表した。

 世界の2万人以上を対象とした意識調査「CBRE Global Consumer Survey」の結果から分かった、住まいなどに関する消費者ニーズが、不動産市場へどのような影響を及ぼすかについて考察したもの。アンケート実施期間は22年6月21日~7月26日。有効回答数は2万1,096件(うち日本は1,621件)。回答者属性は欧州34.8%、アジア太平洋地域42.8%、米州22.4%。

 日本では、回答者の49%が将来の転居先の住宅を賃借する予定だとしている。その他の地域の30~40%と比較して明らかに高い水準となり、日本における賃貸住宅のニーズが他国と比較して高いことを示唆した。
 一方で、「わからない」とした回答者の割合も19%と、他の地域と比較して高かった。日本では、将来の収入に対する不安を抱えている人が多いことが、「賃借」や「わからない」とした回答者の割合が高い理由として考えられると分析した。昨今のような住宅価格が上昇かつ住宅ローン金利が上昇する局面では、賃貸住宅を選択する消費者が増えるとみている。

 若い世代ほど引っ越しの意向が強く、「他の都市の中心部」に行きたいと考えていることが分かった。進学や就職をきっかけに地方から都市部に転居する人が多いという結果に。世界全体でも同じ傾向がみられるが、日本の方が若い世代の都心志向がより強い。
 もっとも、世界と比べて日本はすべての世代にわたって都心志向が強いことが分かった。就労機会が都市部、特に首都圏に集中していることが理由として挙げられる。

 コロナ禍後の転居理由については、「より広い住居」「屋外スペースの確保」「より良い住環境」「商業・レジャー施設に近い立地」など、生活や生活環境の質向上に関連する理由を挙げる回答者の割合が全体的に大きく上昇する一方で、「通勤時間の短縮」「家族構成の変化」が減っていることが分かった。自宅で過ごす時間が増えたことで、消費者が住宅選びで重視する要件は大きく変化している。


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