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AI活用し地域経済を活性化/小田急電鉄他

「次世代AI都市シミュレーター」実証実験の対象エリア

 小田急電鉄(株)、国立大学法人東京大学、ソフトバンク(株)の3者は17日、2022年12月より「次世代AI都市シミュレーター」の実証実験の対象エリアを拡大したと発表した。

 「次世代AI都市シミュレーター」とは、東京大学およびソフトバンクが設立したAI研究機関・Beyond AI研究推進機構の研究テーマの一つとして、21年4月より小田急電鉄と協力し研究開発に取り組んでいるもの。現実空間の人流・交通・購買・来訪者などの匿名化された属性データとデジタルツイン技術を用いて、デジタル空間上に海老名駅周辺エリアを再現し、インセンティブ(動機付け)が行動変容を促す効果を検証している。イベントの集客や購買、店舗運営の効率化を促進することで、都市全体の暮らしやすさの向上、地域経済の活性化を図るほか、フードロス削減や省エネルギーなどサステナブルな都市づくりに向けた課題解決も目指す。

 これまでの実証実験では、駅前の商業施設「VINAWALK(ビナウォーク)」に設置したビーコンやデジタルサイネージを活用し、行動変容への動機付けとして来館者に役立つ情報などを配信し、効果を検証。その結果を基に、商業施設への来館者数や売り上げ向上の効果を予測し、複数店舗での購買などを促す人流誘導アルゴリズムの開発、デジタルツインを活用したシミュレーション結果の可視化などを実現してきた。

 今回、対象エリアを駅前の一部商業施設から海老名駅周辺を含めたエリアへと拡大。対象者も商業施設の利用者だけでなく居住者や勤務者にまで拡大する。商業施設の来館者に優待・イベント情報、マンションの入居者にクーポン等の生活に密着した情報、オフィスビルの勤務者に飲食店の混雑予測情報をそれぞれ提供し、食事や買い物をより快適に楽しめる仕組みを構築する。
 また「VINA GARDENS(ビナガーデンズ)」の入居テナントを対象に、専用のLINEアカウントを通じて人流の予測情報を提供。テナント側の勤務シフトや配置、商品・材料の仕入れ、在庫管理の効率化をサポートする。

 3者は今後、「次世代AI都市シミュレーター」をさらに発展させ、実用性と汎用性の高いスマートシティソリューションの開発とデジタルツインの精度の向上を図り、さまざまな都市での活用を目指す。小田急電鉄は、同実証実験の成果を小田急沿線の他のまちに活用することも検討している。


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