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国土形成計画の原案固まる。広報方法も検討

 国土交通省は26日、国土審議会計画部会(部会長:増田寬也日本郵政(株)取締役兼代表執行役社長)の19回目の会合を開催。新たな国土形成計画(全国計画)の原案、国土計画の広報方法などを検討した。同部会の開催は今回で最終となる。

 原案については、委員の意見やパブリックコメントを踏まえ修正を加えた。中でもデジタルとリアルが融合した「地域生活圏」の形成において、地域課題の解決を図るとともに、地域固有の自然や風土・景観、文化等を含めた地域資源を生かし、人々を惹きつけるゆとりある豊かで美しい地域の魅力向上を図り、地方への人の流れの創出・拡大につなげるとした。

 中心市街地の活性化と地方都市の再生を図るため、関係府省の連携により、にぎわいを生み出す空間づくり、老朽化施設の改修・利活用、空き地・空き店舗対策、地方の都市開発に対するノウハウ支援、商業関係者や地方公共団体等による官民連携した実施体制強化など、必要な施策を検討するとともに、「地方に仕事をつくる」ため、製造業等の域外から稼ぐ産業の地方立地や観光業の振興、大都市、大学等との連携によるイノベーション創出の取り組みを推進する。民間の力を最大限に活用する取り組みをさらに進化させることも含め、可能な限り地域づくりに貢献する民間主体にさまざまな活動・サービスを委ねていく民主導の官民連携による地域経営の発想が強く求められるとした。公共性の高い事業への地域の民間主体の参画の促進は、地域内における経済循環を促すことにもつながり、地域生活圏の持続性の向上にも資することになるとしている。

 委員からは、次回(数年後)の国土形成計画の見直しに向けて、「BIMやそれに関連するデータのような国土をあらわす3次元データがあってもいいのではないか。今回の原案のように、デジタルを含めて今後さらに内容が多方面へ広がっていくことを考えると、平面の資料や図表で考えるには限界を感じている。次回の検討に向けて、あらかじめデータ作成に投資しておいても良いのでは」といったアイディアが出た。

 また、国土が直面する課題(危機感・切迫感、構造的な変革の必要性等)や国土の将来ビジョンについて、広く国民各界各層において共有し、共感を得ることが重要であるとし、広報方法案を示した。ターゲットを従来の地方公共団体に加え、民間主体(各地域の経済団体、各種業界・金融界、学会等)、国民などと広く設定。国土・地域づくりへの多様な主体の参加と連携に向け、テーマに応じてターゲットを絞って、具体的な行動を促すよう働きかける。書籍(マンガ含む)やSNS等を用いながら、高校(義務化された地理総合との連携等)・大学、学会、経済界、先進自治体のほか、マスメディア、インフルエンサーとも連携しながら、分かりやすい解説・ストーリーによる解説を展開していく。

 委員からは「国民の理解と協力だけでなく、参加と貢献が重要になる。広報だけでなく地域生活圏ごとのワークショップ等、具体的な活動につながる働きかけが必要だ」「受け手の行動変容につながるようにターゲットごとに細分化した情報の伝達がポイントになる」「自分事につなげられるような具体的イメージがあるといい」「Z世代に直接どういった情報発信が有効か聞くことが重要」等の意見が挙がった。

 今後、国土審議会に報告し、同審議会から計画案の答申が行なわれる予定。閣議決定は2023年夏を見込む。


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