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物流施設、価格・賃料見通しは「横ばい」が最多

 (株)一五不動産情報サービスは19日、「物流施設の不動産市況に関するアンケート調査」結果を発表した。ディベロッパー、アセットマネージャーなど不動産業に関わる実務家・専門家を対象に、1月24~31日の期間、Webまたはメールでアンケート調査を実施。有効回答数は100。

 半年後の物流施設の不動産価格の見通しについては、「横ばい」が62.0%(前回調査23年7月比4.3ポイント低下)でトップに。「上昇」は26.0%(同1.2ポイント低下)、「下落」は12.0%(同5.5ポイント上昇)となった。
 「下落」の回答者は少数派だが、回答構成比は前回調査から大幅に増加。金融が正常化に向かう過程で、金利上昇への懸念が不動産価格の下落圧力につながるとの意見が増えている。

 「上昇」の理由は、「物流施設の建築費が上昇するため」が最多。「物流施設への注目が続き、今後も活発な投資が続くため」が続いている。「横ばい」の理由は、「賃料水準の見通しに大きな変化がないため」が最多。「下落」の理由では、「今後も大量供給が続き、需給緩和が見込まれるため」が最も多い回答だった。

 半年後の物流施設の賃料水準の見通しも、「横ばい」が53.0%(同7.9ポイント低下)でトップ。「上昇」は38.0%(同8.7ポイント上昇)、「下落」は9.0%(同0.8ポイント低下)だった。
 「上昇」の回答構成比は1年前から2回連続で上昇。コストプッシュ型のインフレが賃料水準の見通しにも影響するという意見が多かった。

 最も多い理由は、「上昇」が「建築費などの開発コストが上昇し、その分の賃料転嫁が進むため」。「横ばい」は「建築費上昇に伴う賃料上昇圧力と需給緩和による賃料下落圧力が均衡するため」、「下落」は「物流施設の大量供給で、テナントの獲得競争が激化するため」が最多に。

 不動産価格の業況判断DIは、14.0ポイント(同6.7ポイント低下)と下落。一方、賃料水準の業況判断DIは29.0ポイント(同9.5ポイント上昇)と上昇した。

 持続的なインフレが物流不動産市場に与える影響について尋ねたところ、「建築費の上昇で、物流施設の開発が抑制される」との回答が8割強を占めた。
 インフレによるポジティブな影響については、「商品の単価上昇が倉庫保管料のアップにつながり、賃料上昇に結び付く」が最多。ネガティブな影響では、「インフレに伴う金利上昇で、不動産価格の下落圧力が高まる」が最も多い回答だった。


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