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地所リアル、企業不動産の動向を考察するレポート

 三菱地所リアルエステートサービス(株)は、「2025年度下期 企業の不動産戦略とマーケット展望」を発行した。同社が一般事業法人向けに行なったアンケート調査や社外の調査・マーケット分析を資料として、企業の不動産戦略とマーケットの見通しについて考察したレポート。

 同社が25年第3四半期に実施したアンケート調査によると、不動産を「現在売却活動中・過去1年以内に売却した、または売却検討中」と回答した企業は全体の約33.7%に上り、過去最高となった。売却の主な理由として、「遊休不動産の処分」や「建物の老朽化」が上位に挙がった。不動産価格高騰を背景に、単なるコスト削減にとどまらず、低稼働資産をキャッシュ化し、成長投資へ回す「資本効率の改善」を狙う動きがうかがえた。売却対象は「事務所」や「投資用物件」など稼働資産のポートフォリオ入れ替えが進む一方で、「土地(遊休地)」も上位に入っており、「遊休資産の処分」という売却理由を明確に裏付ける結果となった。

 購入については、「現在物件探索中・過去1年以内に購入した、または購入検討中」と回答した企業は全体の26.2%となり、底堅い投資意欲が継続していることが分かった。購入の主な理由として、「本業の収益補完」や「新事業への参入」が上位を占め、新たな収益源の確保に向けた「攻めの戦略」を取る姿勢が見られた。投資意欲の底堅さから購入を完全に断念する企業は全体の3.0%と少数にとどまる一方で、実際に取得を断念したケースを見ると「費用対効果が見合わなかった」「適切な物件が見つからなかった」が上位を占めた。不動産価格の高騰により、従来想定していたROI(投資収益率)の目線では、市場の優良物件を取得しきれない厳しい実態がうかがえた。

 また、オフィス・マンションそれぞれの賃貸マーケットに関しても、自社調査と他社調査を資料として分析。オフィス賃貸については、都心部における優良オフィスの需給逼迫と賃料上昇は当面継続する見通し。企業は限られた予算で、単なる面積の拡張ではなく、立地やビルのグレードを引き上げつつ面積を絞り込む「質を重視した面積最適化」の動きをさらに加速させると予測した。

 マンション市場に目を向けると、出社前提のワークスタイルが再定着し職住近接ニーズが高まる中、都心部における賃貸マンションの需給逼迫の状況は今後も継続すると予測。また、物価や建築費高騰を背景としたインフレ圧力も重なり、都心5区を中心に賃貸マンションの賃料上昇トレンドは継続。今後は新規入居時の強気な賃料設定だけでなく、既存入居者の契約更新時における賃料増額改定も定着していくものとみられると考察した。


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