ジョーンズ ラング ラサール(株)(JLL)は7日、東京を中心とした不動産市場の需給、空室状況、賃料・価格動向等についての今後1年間の予測をまとめた調査レポート「2011年第1四半期アジア・パシフィック・プロパティ・ダイジェスト日本版」を発表した。
同期の東京Aグレードオフィスビルの坪当たり平均月額賃料は、前四半期比▲1.3%、前年同期比▲4.4%の2万7,505円。10年第2四半期以降、1%台の下落で推移していることから、賃料がほぼ底にあるとした。
一方、空室率は5.9%と前四半期比0.1ポイントアップし、3四半期ぶりに上昇したが、前年同期比では▲0.9ポイントと低下した。
また、震災後の東京オフィスビル市場については「各企業は事業継続計画(BCP)の見直しを行なっており、本社機能の分散が検討されているほか、耐震性能、自家発電装置の有無など、ビルの選定基準にFlight to Safety (安全への逃避)、Flight to Quality (質への逃避)の動きが認められる」とした。
一方、福島原発事故に起因する、外資系企業を中心とした地方都市への移転の動きについては「一時的措置である事例がほとんどであり、長期的には空室率に大きな影響を与えない」と予測。ただし、「地震の余波が残る中、テナントは、オフィス拡張に対して様子見姿勢をとることが予想されるため、賃料は緩やかな下落基調で推移する」と分析している。