記者の目

2011/10/13

マンションショールームへ行こう!

業界初・ブランドコンセプトギャラリー

 マンションのモデルルームというと、「契約を迫られそう」「物件を決めていないと相手にしてもらえないのではないか」という不安からか、「購入を決めていないけれどいずれは検討している」というようなユーザーの足がなかなか向いていないのが現状といえる。  そんななか、東急不動産(株)は9月3日、気軽に行けるマンションショールームとして、同社の分譲住宅ブランド「BRANZ(ブランズ)」のブランドコンセプトギャラリー「BRANZ Gallery」(東京都渋谷区)をオープン。事前のメディア向け内覧会に足を運んでみた。

「BRANZ Gallery」エントランス
「BRANZ Gallery」エントランス
エントランスを入ると受付(インフォメーション)と右手に奥が「Waiting Lounge」
エントランスを入ると受付(インフォメーション)と右手に奥が「Waiting Lounge」
「Color&Equipment」ルームにはドア、壁面、床などの見本を展示。「BRANZ」ブランドではアースカラーを中心にスモーキーな色合いの5タイプからセレクトできる
「Color&Equipment」ルームにはドア、壁面、床などの見本を展示。「BRANZ」ブランドではアースカラーを中心にスモーキーな色合いの5タイプからセレクトできる
「Concept Room」(2LDK、69.32平方メートル)
「Concept Room」(2LDK、69.32平方メートル)
「BRANZ」オリジナルのキッチンの壁に音声案内のボタンがあり、詳細な説明がなされる
「BRANZ」オリジナルのキッチンの壁に音声案内のボタンがあり、詳細な説明がなされる
「Project Infomation」では、同社が販売する物件の模型やパネルを設置
「Project Infomation」では、同社が販売する物件の模型やパネルを設置

初のブランドショールーム

 通常、マンションのモデルルームというと、物件単位もしくは複数物件で1つのモデルルームを兼ねる場合が一般的だ。いずれも、物件購入を視野に入れた段階でないと見学しづらく、「数年後には購入したい」というような、いわゆる購入検討予備軍では気軽に足を運べない。
 そこで東急不動産は「もっと気軽にマンションを見に来てほしい」という思いから、同社の分譲住宅ブランドを紹介する「BRANZ Gallery」を「渋谷東急プラザ」に開設。ディベロッパーでは初のブランドショールームだ。同ギャラリーは、素材から空間構成に至るまでBRANZのコンセプト「ここは、いい時間が育つ場所。」を具現化した空間だという。


ブランドコンセプトを感じる場所
 
 まず、ギャラリーに入ると、「Waiting Lounge」という場所で、「BRANZ」のブランドコンセプト映像を見ることができる。その後は「BRANZ」の取組みなどが紹介される「BRANZ Quality」ルームへ。同ブランドの“お客さまへの3つの約束”として、「質実なものづくり」「洗練された空間」「一生涯のライフポート」を掲げ、それを実現するための具体的な取組みについてパネルで展示している。展示内容を見て印象的だったのは「BRANZ」のサポート体制だ。工事進捗状況報告書の提出や建築現場見学会、住戸内覧会、防犯・防災セミナーなどの開催など、ユーザーの入居前の不安を和らげているほか、入居後にも、入居者懇親会や共用部見学会などのイベントを通じてコミュニティづくりの場を提供するなど、震災後特に購入者が関心を持つようになった安全面やコミュニティに関する内容について詳細に説明している。


高級仕様ではなく標準仕様を展示

 次に、同ブランドのオリジナルキッチン、洗面化粧台、バスルームなどの水回りの標準仕様の設備やカラーセレクトが展示されている「Color&Equipment」ルームへ。ここで気づいたのは各所に「音声案内ボタン」が設置されているということ。同社住宅事業本部販売企画部BRANZ企画グループ課長・内藤秀人氏によると「係の者がお客様に付きっきりで説明すると、どうしても圧迫感を与えてしまいます。基本説明を音声ガイダンスですることで、お客様には営業的なイメージを与えることなく、自然な形で聞いてもらえるよう工夫をしています」と言う。

 続いて、実際の設備や仕様、室内のイメージができる「Concept Room」へ。ここでは、「BRANZ」で提供する標準仕様の設備や仕様を採用している。モデルルームでは、高級感や上質感を出すために、標準仕様ではなく、グレードアップした設備・仕様にしたり、例えば照明をシャンデリアにするほか、食器やテーブルクロス、植栽など豪華な装飾で飾ることも多い。ただ、モデルルームとしての出来栄えはよくても、一般の消費者にとっては逆に購入後のイメージを想像し難いといった弊害もある。そこで同社では、基本的には標準仕様での展示を試みている。


商談スペースはなく、あえて展示室に

 最後に入ったのは、同社が販売する物件の模型やパネルが置かれている「Project Infomation」という場所。ここに来て初めて、具体的な物件の事例が出てくるというわけである。
 当面は、同社が今後力を入れていく都心コンパクト物件の販売拠点として活用し、常時2~3物件の販売も合わせて行なっていくという。
 ただし、あくまでもギャラリーのため、契約に関する商談などは行なわない。内藤氏は「営業を行なう場所ではなく、あくまでも『BRANZ』ブランドを浸透させていくことが目的」と言う。


各社のマンションショールーム戦略
 
 今回は、東急不動産が自社のブランドイメージを伝える目的でオープンした「BRANZ Gallery」を紹介したが、ディベロッパー各社、ともにマンションショールームにおける進化がみえる。
 例えば、住友不動産(株)では首都圏すべての物件の情報がわかる「総合マンションギャラリー」を29日にオープンする予定だ。山手線のターミナル駅の徒歩圏内5箇所に合計床面積2,500坪というスケールの施設で、住まいに関する相談や具体的な物件の選択、実際の住宅設備機器や仕様を体感できるコーナーを設けるという。また、(株)大京グループでは、業界初となるマンションリフォーム専用のショールームを開設させている。
 これまでの物件単位でのモデルルームから、ディベロッパー各社の強みや工夫、設備機器の特徴などを一度に知ることのできるショールームへと、各社、新しいモデルルームのカタチを模索しているようだ。(tam)

***

【関連ニュース】
マンションリフォーム事業拡大へ専用ショールームを開設/大京グループ(2011/9/16)
分譲住宅ブランド「BRANZ」のコンセプトギャラリーを開設/東急不動産(2011/8/24)

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年6月号
「特定空家」にしないため…
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/5/5

「月刊不動産流通2024年6月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年6月号」の発売を開始しました!

編集部レポート「官民連携で進む 空き家対策Ⅳ 特措法改正でどう変わる」では、2023年12月施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」を国土交通省担当者が解説。

あわせて、二人三脚で空き家対策に取り組む各地の団体と自治体を取材しました。「滋賀県東近江市」「和歌山県橋本市」「新潟県三条市」「東京都調布市」が登場します!空き家の軒数も異なり、取り組みもさまざま。ぜひ、最新の取り組み事例をご覧ください。